菜根譚 / 前集
讀書不見聖賢,為鉛槧傭;居官不愛子民,為衣冠盜;講學不尚躬行,為口頭禪;立業不思種德,為眼前花。
新字:読書不見聖賢,為鉛槧傭;居官不愛子民,為衣冠盗;講学不尚躬行,為口頭禅;立業不思種徳,為眼前花。
書き下し
書を読みて聖賢を見ずんば、鉛槧の傭たり。官に居りて子民を愛せずんば、衣冠の盗たり。学を講じて躬行を尚ばずんば、口頭の禅たり。業を立てて種徳を思わずんば、眼前の花たり。
現代語訳
書を読んで聖賢に会わなければ、写字の雇われ人にすぎない。官にあって民を愛さなければ、衣冠を着けた盗人にすぎない。学を講じて自ら実践しなければ、口先の禅にすぎない。事業を立てて徳を植えることを思わなければ、目の前の花にすぎない。
解説
この一節は、形だけを整えても中身が伴わなければ、その本質は失われると厳しく指摘します。書物を読んでもその真意を理解しなければ、ただ文字をなぞる写字係と同じ。責任ある立場にあっても人々を思いやらなければ、権威を笠に着た盗人と変わらない。また、知識を語るだけで実践がなければ、それは口先だけの空虚な言葉にすぎません。そして、どんなに立派な事業を成し遂げても、そこに人としての徳や社会への貢献がなければ、いずれは散りゆく目の前の花のようなもの。表面的な肩書きや成果にとらわれず、常にその行動の根底にある真の目的や心を問うことの重要性を教えてくれます。
この章句が説くこと
読書不見聖賢為鉛槧傭居官不愛子民為衣冠盗
関連する章句
-
菜根譚・前集心地清浄にして、方に書を読み古を学ぶべし。然らずんば、一善行を見て、竊かに以て私を済(な)し、一善言を聞きて、仮りて以て短を覆う。是れ又た寇に兵を藉し盗に糧を齎(もたら)すなり。
-
菜根譚・前集勤なる者は徳義に敏なり。而して世人は勤を借りて以て其の貧を済(すく)う。倹なる者は貨利に淡なり。而して世人は倹を仮りて以て其の吝を飾る。君子持身の符も、反りて小人営私の具と為る。惜しいかな。
-
菜根譚・前集平民も肯えて徳を種え恵を施さば、便ち是れ無位の公相なり。士夫も徒らに権を貪り寵を市(か)わば、竟に有爵の乞人と成る。
-
菜根譚・前集私恩を市(う)るは、公議を扶くるに如かず。新知を結ぶは、旧好を敦くするに如かず。栄名を立つるは、隠徳を種うるに如かず。奇節を尚ぶは、庸行を謹むに如かず。
-
菜根譚・前集善く書を読む者は、手舞い足踏む処に読み到るを要す。方に筌蹄(せんてい)に落ちず。善く物を観る者は、心融け神洽(あまね)き時に観到るを要す。方に迹象に泥(なず)まず。
-
菜根譚・前集功業を誇逞し、文章を炫耀するは、皆な是れ外物に靠(よ)りて人と做(な)るなり。知らず、心体は瑩然として、本来失せず。即ち寸功隻字無きも、亦た自ら堂堂正正、人と做る処有るを。
人生の答えは、ぜんぶ古典に書いてあった。
古典の入門書『人生の教科書』(PDF)と、師導の全機能1か月がセットで700円。二十四の悩みに、論語・老子・孫子から徒然草・五輪書までが答えます。
本の中身を見る