菜根譚 / 前集
奢者富而不足,何如儉者貧而有餘;能者勞而府怨,何如拙者逸而全真。
新字:奢者富而不足,何如倹者貧而有余;能者労而府怨,何如拙者逸而全真。
書き下し
奢る者は富みて足らず。何ぞ倹なる者の貧しくして余り有るに如かんや。能なる者は労して怨みを府(あつ)む。何ぞ拙なる者の逸して真を全うするに如かんや。
現代語訳
奢る者は、富んでいても足りない。倹約する者が、貧しくても余りがあるのに及ばない。有能な者は、働いて怨みを集める。不器用な者が、のんびりして本性を全うするのに及ばない。
解説
贅沢な人はどれほど豊かでも満足せず、倹約する人は貧しくても心にゆとりがある。そして、有能な人は多くの仕事をこなし、期待に応えようと努力するあまり、かえって周囲の不満や恨みを買うことがあると説きます。できる人ほど仕事が集中し、その重圧や周囲の過度な期待に応えきれない時、不満の矛先となることがあるのです。一方で、不器用な人は無理をせず、自分らしく穏やかに過ごすことで、かえって心の平穏を保ち、本質的な自分を全うできる。能力と幸福が必ずしも一致しないことを示唆し、自分にとっての本当の豊かさや生き方を見つめ直すきっかけを与えてくれます。
この章句が説くこと
奢者富而不足何如倹者貧而有余能者労而府怨