菜根譚 / 前集
福莫福於少事,禍莫禍於多心。唯苦事者,方知少事之為福;唯平心者,始知多心之為禍。
書き下し
福は事少なきより福なるは莫し。禍は心多きより禍なるは莫し。唯だ事に苦しむ者のみ、方に事少なきの福為るを知る。唯だ心平らかなる者のみ、始めて心多きの禍為るを知る。
現代語訳
福は、事が少ないことに勝る福はない。禍は、心配事が多いことに勝る禍はない。ただ事に苦しむ者だけが、事が少ないことの福を知る。ただ心が平らかな者だけが、心配事が多いことの禍を知る。
解説
「事が少ないことが、最大の福」。何かを得ることではなく、何もないこと。忙しさに追われている時は、この価値が分かりません。「事に苦しむ者だけが、事が少ないことの福を知る」。失って初めて、分かるのです。