菜根譚 / 前集
慾路上事,毋樂其便而姑為染指,一染指便深入萬仞;理路上事,無憚其難而稍為退步,一退步便遠隔千山。
新字:慾路上事,毋楽其便而姑為染指,一染指便深入万仞;理路上事,無憚其難而稍為退歩,一退歩便遠隔千山。
書き下し
慾路上の事は、其の便なるを楽しみて姑(しばら)く染指を為す毋かれ。一たび染指せば便ち万仞に深入す。理路上の事は、其の難きを憚りて稍(すこ)しく退歩を為す無かれ。一たび退歩せば便ち遠く千山を隔つ。
現代語訳
欲望の道の事は、便利だからといって、しばらく手を出してはならない。一度手を出せば、たちまち万仞の深みに入る。道理の道の事は、難しいからといって、少し退いてはならない。一度退けば、たちまち千の山を隔てる。
解説
一度手を出せば、万仞の深み。一度退けば、千の山の隔たり。どちらも、最初の一歩で決まると言います。「少しだけ」が効かないのです。線を引くなら、ゼロの位置にしか引けない。中間はないという厳しさです。