菜根譚 / 前集
慾路上事,毋樂其便而姑為染指,一染指便深入萬仞;理路上事,無憚其難而稍為退步,一退步便遠隔千山。
新字:慾路上事,毋楽其便而姑為染指,一染指便深入万仞;理路上事,無憚其難而稍為退歩,一退歩便遠隔千山。
書き下し
慾路上の事は、其の便なるを楽しみて姑(しばら)く染指を為す毋かれ。一たび染指せば便ち万仞に深入す。理路上の事は、其の難きを憚りて稍(すこ)しく退歩を為す無かれ。一たび退歩せば便ち遠く千山を隔つ。
現代語訳
欲望の道の事は、便利だからといって、しばらく手を出してはならない。一度手を出せば、たちまち万仞の深みに入る。道理の道の事は、難しいからといって、少し退いてはならない。一度退けば、たちまち千の山を隔てる。
解説
倫理的な問題や組織の規範に関わる事柄では、「少しだけ」という安易な妥協が、取り返しのつかない事態を招くことがあります。一方で、正しいと信じる道においては、困難を前にわずかでも後退すれば、目標達成が著しく遠のくでしょう。リーダーは、誘惑に対しては断固として一線を画し、正しい意思決定に対しては、困難を恐れず一歩も引かない姿勢が求められます。
この章句が説くこと
一染指便深入万仞一退歩便遠隔千山最初の一歩で決まる