菜根譚 / 前集
作人無甚高遠事業,擺脫得俗情,便入名流;為學無甚增益工夫,減除得物累,便超聖境。
書き下し
人と作(な)るに甚だ高遠なる事業無し。俗情を擺脱(はいだつ)し得ば、便ち名流に入る。学を為すに甚だ増益の工夫無し。物累を減除し得ば、便ち聖境を超ゆ。
現代語訳
人となるのに、特に高遠な事業は要らない。俗な情を振り払えれば、それで一流の人物に入る。学問をするのに、特に付け加える工夫は要らない。物への執着を減らせれば、それで聖人の境地を超える。
解説
「付け加える工夫は要らない。減らせばよい」。人格も学問も、足すのではなく引くのだ、と言います。何かを身につけようとするより、余計なものを捨てる。多くの人は、増やすことばかり考えます。減らすことのほうが、難しいのです。