呂氏春秋 / 孝行⑦
養有五道:修宮室,安床笫,節飲食,養體之道也。樹五色,施五采,列文章,養目之道也。正六律,龢五聲,雜八音,養耳之道也。熟五穀,烹六畜,龢煎調,養口之道也。龢顏色,說言語,敬進退,養志之道也。此五者,代進而厚用之,可謂善養矣。
新字:養有五道:修宮室,安床笫,節飲食,養体之道也。樹五色,施五采,列文章,養目之道也。正六律,龢五声,雑八音,養耳之道也。熟五穀,烹六畜,龢煎調,養口之道也。龢顏色,説言語,敬進退,養志之道也。此五者,代進而厚用之,可謂善養矣。
書き下し
養うに五道有り。宮室を修め、牀笫を安らかにし、飲食を節にするは、體を養うの道なり。五色を樹て、五采を施し、文章を列ぬるは、目を養うの道なり。六律を正し、五聲を龢し、八音を雜うるは、耳を養うの道なり。五穀を熟し、六畜を烹、煎調を龢するは、口を養うの道なり。顔色を龢らげ、言語を説ばし、進退を敬しくするは、志を養うの道なり。此の五者は、代わるがわる進めて厚く之を用うる、善く養うと謂う可し。
現代語訳
親を養うには五つの道がある。住居を整え、寝床を快適にし、飲食を程よくするのは体を養う道である。色彩を飾り、文様を並べるのは目を養う道である。六律を正し、五声を調和させ、八音を合わせるのは耳を養う道である。五穀をよく煮て、六畜を料理し、味付けを調えるのは口を養う道である。顔色を和らげ、言葉を喜ばせ、立ち居振る舞いを慎むのは心を養う道である。この五つを代わる代わる手厚く尽くせば、よく養うと言える。
解説
親孝行の具体的な方法を、体・目・耳・口・志の五つの側面から丁寧に列挙します。背景には、単に食事を与えるだけでなく、住環境や音楽、そして何より穏やかな態度で親の心を安んじることまでを養と考える発想があります。とりわけ最後の志を養う、すなわち和やかな表情や言葉で親を喜ばせる点に、物質より精神的な充足を重んじる姿勢が見えます。現代の介護やケアにおいても、生活の世話に加えて相手の気持ちに寄り添うことが大切だという普遍的な示唆を含みます。
この章句が説くこと
養五道体を養う志を養う孝養五声八音
関連する章句
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呂氏春秋・孝行⑨民の本教を孝と曰い、其の行孝を養と曰う。養は能くす可し、敬を難しと為す。敬は能くす可し、安んずるを難しと為す。安んずるは能くす可し、卒りを難しと為す。父母既に沒するときは、敬みて其の身を行い、父母の惡名を遺すこと無き、能く終ると謂う可し。仁とは此を仁する者なり、禮とは此を履む者なり、義は此を宜しくする者なり、信とは此を信にする者なり、彊とは此を彊むる者なり。樂しみは此に順う自り生じ、刑は此に逆う自り作るなり。
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呂氏春秋・盡數⑤凡そ食は彊厚の味無く、烈味重酒を以いること無かれ。是を以て之を疾の首と謂う。食能く時を以てすれば、身必ず災い無し。凡そ食の道は、飢うること無く飽くること無し。是を之れ五藏の葆と謂う。口必ず味を甘しとし、精を和らげ容を端し、之を將うに神氣を以てすれば、百節虞歡し、咸進みて氣を受く。飲は必ず小咽なれば、端直にして戻ること無し。
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『孝経』紀孝行章第十子曰く、「孝子の親に事うるや、居りては則ちその敬を致し、養いては則ちその楽を致し、病みては則ちその憂いを致し、喪しては則ちその哀を致し、祭りては則ちその厳を致す。五つの者備わりて、然る後によく親に事う。親に事うる者は、上に居りて驕らず、下と為りて乱さず、醜に在りて争わず。上に居りて驕れば則ち亡び、下と為りて乱せば則ち刑せられ、醜に在りて争えば則ち兵せらる。三つの者除かざれば、日に三牲の養いを用うと雖も、猶お不孝と為すなり」。
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呂氏春秋・孝行⑤曾子曰く、「先王の天下を治むる所以の者は五、徳を貴び、貴を貴び、老を貴び、長を敬し、幼を慈しむ。此の五者は、先王の天下を定むる所以なり。所謂徳を貴ぶとは、其の聖に近きが為なり。所謂貴を貴ぶとは、其の君に近きが為なり。所謂老を貴ぶとは、其の親に近きが為なり。所謂長を敬すとは、其の兄に近きが為なり。所謂幼を慈しむとは、其の弟に近きが為なり。」
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呂氏春秋・孝行③曾子曰く、「身は、父母の遺體なり。父母の遺體を行う、敢て敬せざらんや。居處莊ならざるは、孝に非ざるなり。君に事えて忠ならざるは、孝に非ざるなり。官に蒞みて敬ならざるは、孝に非ざるなり。朋友に篤からざるは、孝に非ざるなり。戰陳に勇無きは、孝に非ざるなり。五行遂げざれば、災い親に及ぶ。敢て敬せざらんや。」
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呂氏春秋・尊師④生くれば則ち養を謹む。養を謹しむの道、心を養うことを貴しと為す。死すれば則ち祭りを敬む。祭りを敬するの術は、時節に務めを為す。此れ師を尊ぶ所以なり。唐圃を治め、灌寖を疾め、種樹を務む。葩屨を織り、罝網を結び、蒲葦を捆つ。田野に之き、耕耘に力め、五穀を事む。山林に如き、川澤に入り、魚鱉を取り、鳥獸を求む。此れ師を尊ぶ所以なり。輿馬を視、駕御を慎み、衣服を適にし、輕煗を務め、飲食に臨めば、必ず蠲絜にして、調和を善くし、甘肥を務め、必ず恭敬にして、顏色を和らぐ。辭令を審らかにし、趨翔に疾め、必ず嚴肅にす。此れ師を尊ぶ所以なり。