呂氏春秋 / 有始⑭
天地萬物,一人之身也,此之謂大同。眾耳目鼻口也,眾五穀寒暑也,此之謂眾異。則萬物備也。天斟萬物,聖人覽焉,以觀其類。解在乎天地之所以形,雷電之所以生,陰陽材物之精,人民禽獸之所安平。
新字:天地万物,一人之身也,此之謂大同。衆耳目鼻口也,衆五穀寒暑也,此之謂衆異。則万物備也。天斟万物,聖人覧焉,以観其類。解在乎天地之所以形,雷電之所以生,陰陽材物之精,人民禽獣之所安平。
書き下し
天地萬物は、一人の身なり。此を之れ大同と謂う。衆は耳目鼻口なり、衆は五穀寒暑なり。此を之れ衆異と謂い、則ち萬物備わるなり。天は萬物を斟り、聖人は焉を覽て、以て其の類を觀わす。解は天地の形する所以、雷電の生ずる所以、陰陽材物の精、人民禽獸の安平なる所に在り。
現代語訳
天地万物は、一人の身体のようにひとつにつながっている。これを大同という。多くの耳目鼻口があり、多くの五穀や寒暑がある。これを衆異という。こうして万物はすべて備わる。天は万物を調え、聖人はこれを観察して、その類型を見分ける。詳しい解説は、天地が形をなす理由、雷電が生じる理由、陰陽と万物の精気、人民や禽獣が安んじて暮らす道理にある。
解説
この段は有始篇を締めくくり、天地万物を一つの身体になぞらえる大同と、耳目鼻口や五穀寒暑のように多様な要素からなる衆異を対比します。すべてが一つにつながりながら、無数の違いをもって備わる、という統一と多様の思想です。聖人はその全体を観察して類型を見抜くとされ、天地の生成や雷電・陰陽の理へと考察が導かれます。呂氏春秋は世界を有機的な一体として捉えました。全体は一つでありながら多様な部分から成る、という見方は、システムを部分と全体の関係で理解する現代の思考にも通じる、示唆に富む世界観です。
この章句が説くこと
大同衆異天地万物一身聖人統一と多様
関連する章句
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『都鄙問答』卷之三・性理問答ノ段万物生生して古今違はず。其生々を継物を善と云。分ていはゞ、天は形なふして心の如し、地は形有て物の如し。其生々する所は活物の如し、無心なる所は死物の如し。天地は、死活の二を兼たる物なり。死活の二を兼すぶるゆへに、万物の体となる。其物を暫く名づけて、理とも性とも善とも云。然るに私意を用ゆる者は、天地は活物なりと、一方を知て、死活を摂て、一理なることを知らず。因て害をなすこと甚し。是故に、孔子、異端を攻むるは斯れ害あるのみとの玉ふことなり。天地を、人の上にていはゞ、心は虚にして天なり、形はふさがつて地なり、呼吸は陰陽なり、これを継者は善なり、用を為所を主る体は性なり。是を以て見よ、人は全体一箇の小天地なり。我も一箇の天地と知らば、何に不足の有べきや。告子は是を知らず、生滅にあづかる思慮を以て、我性と思。思ふ所は性に非ず。いかんとなれば、思慮なき天理に異るゆへなり。此味ひを知らざる者は、天道に合はざるゆへに異端と云。渾然たる一理の性に至れる孟子には異る所なり。

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