呂氏春秋 / 有始③
何謂九野?中央曰鈞天,其星角、亢、氐。東方曰蒼天,其星房、心、尾。東北曰變天,其星箕、斗、牽牛。北方曰玄天,其星婺女、虛、危、營室。西北曰幽天,其星東壁、奎、婁。西方曰顥天,其星胃、昴、畢。西南曰朱天,其星觜嶲、參、東井。南方曰炎天,其星輿鬼、柳、七星。東南曰陽天,其星張、翼、軫。
新字:何謂九野?中央曰鈞天,其星角、亢、氐。東方曰蒼天,其星房、心、尾。東北曰変天,其星箕、斗、牽牛。北方曰玄天,其星婺女、虚、危、営室。西北曰幽天,其星東壁、奎、婁。西方曰顥天,其星胃、昴、畢。西南曰朱天,其星觜嶲、参、東井。南方曰炎天,其星輿鬼、柳、七星。東南曰陽天,其星張、翼、軫。
書き下し
何をか九野と謂う。中央を鈞天と曰う、其の星は角・亢・氐。東方を蒼天と曰う、其の星は房・心・尾。東北を變天と曰う、其の星は箕・斗・牽牛。北方を玄天と曰う、其の星は婺女・虚・危・營室。西北を幽天と曰う、其の星は東壁・奎・婁。西方を顥天と曰う、其の星は胃・昴・畢。西南を朱天と曰う、其の星は觜嶲・參・東井。南方を炎天と曰う、其の星は輿鬼・柳・七星。東南を陽天と曰う、其の星は張・翼・軫。
現代語訳
九野とは何か。中央を鈞天といい、その星宿は角・亢・氐。東方を蒼天といい、房・心・尾。東北を変天といい、箕・斗・牽牛。北方を玄天といい、婺女・虚・危・営室。西北を幽天といい、東壁・奎・婁。西方を顥天といい、胃・昴・畢。西南を朱天といい、觜嶲・参・東井。南方を炎天といい、輿鬼・柳・七星。東南を陽天といい、張・翼・軫である。
解説
この段は天空を中央と八方の九つに区分し、それぞれに天の名と二十八宿の星々を配当します。中央の鈞天から東の蒼天、南の炎天まで、方位ごとに星宿を割り当てる古代の天文体系です。二十八宿は月や日の運行の目印であり、暦法や占星の基礎でした。呂氏春秋はこの天区分を、季節の推移や政治の指針である十二紀と結びつけて理解しました。夜空を方位と星座で秩序づける営みは、現代の星座や天球座標の考え方につながり、人が空を手がかりに時と方角を測ってきた歴史を伝えます。
この章句が説くこと
九野二十八宿鈞天蒼天炎天天文
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説苑・辨物易に曰わく、「仰いで以て天文を観、俯して以て地理を察す」と。是の故に幽明の故を知る。夫れ天文地理、人情の効、心に存すれば、則ち聖智の府なり。是の故に古えの聖王既に天下に臨めば、必ず四時を変じ、律暦を定め、天文を考え、時変を揆り、霊台に登りて気氛を望む。故に堯曰わく、「咨(ああ)爾舜よ、天の暦数爾が躬に在り、允に其の中を執れ、四海困窮せば」と。書に曰わく、「璿璣玉衡に在りて、以て七政を斉う」と。璿璣とは此の辰、勾陳枢星なり。其の魁杓の指す所を以て二十八宿の吉凶禍福と為す。天文列舎の盈縮の占い、各々類を以て験と為す。夫れ変を占うの道は二のみ。二とは陰陽の数なり。故に易に曰わく、「一陰一陽、之を道と謂う。道なる者は、物の動くこと道に由らざるは莫し」と。是の故に一に発し、二に成り、三に備わり、四に周く、五に行わる。是の故に玄象の著明なるは、日月より大なるは莫し。変の動を察するは、五星より著るきは莫し。天の五星は気を五行に運らし、其の初めは猶お陰陽より発し、化は万一千五百二十に極まる。所謂二十八星とは、東方を角亢氐房心尾箕と曰い、北方を斗牛須女虚危営室東壁と曰い、西方を奎婁胃昂畢觜参と曰い、南方を東井輿鬼柳七星張翼軫と曰う。所謂宿とは、日月五星の宿る所なり。其の宿に在りて外内を運る者は、宮を以て名を別つ。其の根荄は皆地に発して華は天に形わる。所謂五星とは、一に歳星と曰い、二に熒惑と曰い、三に鎮星と曰い、四に太白と曰い、五に辰星と曰う。欃槍・彗孛・旬始・枉矢・蚩尤の旗は、皆五星盈縮の生ずる所なり。五星の犯す所、各々金木水火土を以て占と為す。春秋冬夏の伏見時有り、其の常を失い、其の時を離るれば則ち変異と為し、其の時を得て其の常に居れば、是を吉祥と謂う。古えに四時を主る者有り。春を主る者は張、昏にして中す、以て穀を種うべし、上は天子に告げ、下は之を民に布く。夏を主る者は大火、昏にして中す、以て黍菽を種うべし、上は天子に告げ、下は之を民に布く。秋を主る者は虚、昏にして中す、以て麦を種うべし、上は天子に告げ、下は之を民に布く。冬を主る者は昴、昏にして中す、以て斬伐・田猟・蓋蔵すべし、上は之を天子に告げ、下は之を民に布く。故に天子南面して四星の中するを視、民の緩急を知り、急なれば賦籍せず、力役を挙げず。書に曰わく、「敬んで民に時を授く」と。詩に曰わく、「物其れ有り、維れ其れ時なり」と。物の有りて絶えざる所以は、其の動くに時を以てすればなり。
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