呂氏春秋 / 仲冬②
是月也,命閹尹,申宮令,審門閭,謹房室,必重閉。省婦事,毋得淫,雖有貴戚近習,無有不禁。乃命大酋,秫稻必齊,麴糱必時,湛饎必潔,水泉必香,陶器必良,火齊必得,兼用六物,大酋監之,無有差忒。天子乃命有司,祈祀四海大川名原淵澤井泉。
新字:是月也,命閹尹,申宮令,審門閭,謹房室,必重閉。省婦事,毋得淫,雖有貴戚近習,無有不禁。乃命大酋,秫稻必斉,麴糱必時,湛饎必潔,水泉必香,陶器必良,火斉必得,兼用六物,大酋監之,無有差忒。天子乃命有司,祈祀四海大川名原淵沢井泉。
書き下し
是の月や、閹尹に命じて、宮令を申ね、門閭を審らかにし、房室を謹み、必ず重閉せしめ、婦事を省き、淫するを得ること毋からしめ、貴戚近習有りと雖も、禁ぜざること有る無からしむ。乃ち大酋に命じて、秫稻必ず齊え、麴糱必ず時にし、湛饎必ず潔く、水泉必ず香しく、陶器必ず良に、火齊必ず得しむ。六物を兼ね用うるや、大酋之を監して、差忒有ること無からしむ。天子乃ち有司に命じて、四海の大川・名原・淵澤・井泉に祈祀せしむ。
現代語訳
この月には、宦官の長に命じて宮中の禁令を重ねて徹底させ、門や入口を厳しく調べ、部屋を慎み守り、必ず幾重にも閉ざさせます。女官の仕事を減らし、みだらな事のないようにさせ、貴族や側近であっても、例外なく禁令に従わせます。そして酒造りをつかさどる大酋に命じて、もち粟と稲をよく揃え、麹づくりは時を守り、米を漬けて炊く作業は清潔にし、水は香しく、陶器は良質に、火加減は適切にさせます。これら六つの条件を合わせ用いる際は、大酋がこれを監督して間違いのないようにします。天子はまた役人に命じて、四海の大河・有名な源流・淵や沢・井戸や泉に祈りをささげさせます。
解説
この段は仲冬の月に行うべき宮中の管理と酒造り、水源への祭祀を述べています。要点は、閉蔵の季節にあたり宮中を厳重に閉ざし規律を保つこと、そして翌年に備えて良質な酒を仕込むことです。背景には、酒は祭祀に不可欠であり、材料・麹・水・火加減など六つの条件を厳密に管理する古代の醸造技術がありました。担当官である大酋の監督責任も明記されています。品質管理を工程ごとに責任者を定めて徹底する姿勢は、現代の製造業や品質保証の考え方に通じ、季節ごとに仕事を割り当てる時間管理の知恵も学べます。
この章句が説くこと
大酋醸造六物閹尹祈祀品質管理