呂氏春秋 / 禁塞①
夫救守之心,未有不守無道而救不義也。守無道而救不義,則禍莫大焉,為天下之民害莫深焉。
書き下し
夫れ救守の心は、未だ無道を守りて不義を救わざること有らざるなり。無道を守りて不義を救わば、則ち禍い焉より大なるは莫し。天下の民に害を為すこと、焉より深きは莫し。
現代語訳
そもそも救守(防衛援助)の心は、無道を守り不義を救わないということがない。無道を守り不義を救えば、これほど大きな禍はなく、天下の民に害を及ぼすことがこれほど深いものはない。
解説
「禁塞」篇の冒頭で、救守(防衛援助)を無差別に肯定する立場を批判した一段です。前篇までの攻伐擁護を承けて、今度は救守の側に潜む問題を突き、義の有無を問わず守り助ければ、結局は無道の君を守り不義を救うことになり、天下に大害を及ぼすと説きます。守るという行為も、その相手が無道であれば正義に反するという鋭い指摘で、防衛は常に善という素朴な見方を退けます。行為の善悪を相手や目的に照らして判断する視点は、正義と立場を考える現代の議論にも通じます。
この章句が説くこと
救守禁塞無道不義義兵防衛