呂氏春秋 / 季夏⑥
是月也,土潤溽暑,大雨時行,燒薙行水,利以殺草,如以熱湯,可以糞田疇,可以美土疆。
新字:是月也,土潤溽暑,大雨時行,焼薙行水,利以殺草,如以熱湯,可以糞田疇,可以美土疆。
書き下し
是の月や、土潤い溽暑にして、大雨時に行わる。薙を燒き水を行る。以て草を殺すに利しく、熱湯を以てするが如く、以て田疇を糞う可く、以て土疆を美くす可し。
現代語訳
この月には、土は潤って蒸し暑く、大雨が時に降る。刈り取った草を焼いて水を引き入れれば、草を枯らすのに都合よく、熱湯をかけたようになり、田畑を肥やすことができ、痩せた土地を良くすることができる。
解説
この段は、季夏の高温多湿の気候を利用した農地改良の技術を述べています。刈った雑草を焼き、そこに水を引くと、熱と水の作用で雑草が枯れ、その灰や腐熟が肥料となって田畑を肥やし、痩せ地を豊かにできるというのです。古代の人々が、蒸し暑い季節の自然条件を逆手にとって土づくりに活かしていたことがうかがえます。季節ごとの気候の特性をよく観察し、それに合った作業を選ぶという発想は、環境条件を味方につける農業や、条件に応じて手段を最適化する現代の実践にも通じます。
この章句が説くこと
溽暑焼薙土壌改良施肥農事季夏
関連する章句
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呂氏春秋・季夏⑤是の月や、樹木方に盛んにして、陰將に始めて刑せんとすれば、乃ち虞人に命じて山に入り木を行り、斬伐すること或る無からしむ。以て土功を興す可からず、以て諸侯を合す可からず、以て兵を起こし衆を動かす可からず。大事を舉げて、以て氣を將陽すること無かれ。令を發して時を干し、以て神農の事を妨ぐること無かれ。水潦盛昌なれば、神農に命じて、將て功を巡らしむ。大事を舉ぐれば、則ち天殃有り。
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呂氏春秋・孟春④是の月や、天の気は下降し、地の気は上騰し、天地和同して、草木繁動す。王、農事を布く。田に命じて東郊に舎せしむ。皆封疆を修め、審らかに徑術を端し、善く丘陵・阪險・原隰の、土地の宜しき所、五穀の殖する所を相て、以て民を教道し、必ず躬ら之を親しくせしむ。田事既に飭い、先づ準直を定むれば、農乃ち惑わず。
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呂氏春秋・任地③上田は畝を棄て、下田は甽を棄つ。五耕五耨、必ず審らかにして以て其の深殖の度を盡くせば、陰土必ず得、大草生ぜず、又螟蜮無し。今茲は美禾あり、來茲は美麥あり。是を以て六尺の耜は、畝を成す所以なり。其の博さ八寸は、甽を成す所以なり。耨の柄は尺、此れ其の度なり。其の耨六寸は、稼を閒つる所以なり。地肥えしむ可く、又棘せしむ可し。人肥やすに必ず澤を以てすれば、苗をして堅に地をして隙あらしむ。人耨るに必ず旱を以てすれば、地をして肥えしめ土をして緩ならしむ。
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呂氏春秋・季春④是の月や、司空に命じて曰く、「時雨將に降らんとす、下水は上騰せん。國邑を循行し、原野を周視し、隄防を修理し、溝瀆を導達し、道路を開通して、障塞有ること無からしめよ。田獵の罼弋・罝罘羅の網、餧獸の藥は、九門より出だすこと無からしめよ。」
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呂氏春秋・季夏⑦是の令を行えば、是の月、甘雨三たび至る。三旬は二日なり。季夏に春の令を行えば、則ち穀實解落し、國に風欬多く、人乃ち遷徙す。秋の令を行えば、則ち丘隰に水潦あり、禾稼熟さず、乃ち女災多し。冬の令を行えば、則ち寒氣時ならず、鷹隼早く鷙え、四鄙入りて保ず。
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呂氏春秋・季秋⑥是の月や、草木黄落す。乃ち薪を伐り炭を為る。蟄蟲咸俯して穴に在り、皆其の戶を墐ぐ。乃ち獄刑を趣して、有罪を留むること無く、祿秩の當らざる者、共養の宜しからざる者を収む。