呂氏春秋 / 季夏⑤
是月也,樹木方盛,〔陰將始刑〕,乃命虞人入山行木,無或斬伐。不可以興土功,不可以合諸侯,不可以起兵動眾。無舉大事,以(搖蕩)〔將陽〕(於)氣。無發令而干時,以妨神農之事。水潦盛昌,命神農,將巡功。舉大事則有天殃。
新字:是月也,樹木方盛,〔陰将始刑〕,乃命虞人入山行木,無或斬伐。不可以興土功,不可以合諸侯,不可以起兵動眾。無舉大事,以(揺蕩)〔将陽〕(於)気。無発令而干時,以妨神農之事。水潦盛昌,命神農,将巡功。舉大事則有天殃。
書き下し
是の月や、樹木方に盛んにして、陰將に始めて刑せんとすれば、乃ち虞人に命じて山に入り木を行り、斬伐すること或る無からしむ。以て土功を興す可からず、以て諸侯を合す可からず、以て兵を起こし衆を動かす可からず。大事を舉げて、以て氣を將陽すること無かれ。令を發して時を干し、以て神農の事を妨ぐること無かれ。水潦盛昌なれば、神農に命じて、將て功を巡らしむ。大事を舉ぐれば、則ち天殃有り。
現代語訳
この月には、樹木がまさに盛んで、陰の気がまもなく万物を刑し始めようとするので、虞人に命じて山に入り木を見回らせ、伐採させてはならない。土木工事を起こしてはならず、諸侯を集めてはならず、兵を起こし民衆を動かしてはならない。大事業を起こして陽の気を揺り動かしてはならない。命令を発して季節に逆らい、農事を妨げてはならない。雨水が盛んなときは、農事を司る官に命じて治水の工事を巡視させる。もし大事業を起こせば天罰がある。
解説
この段は、盛夏に慎むべきことを列挙した戒めです。草木が茂り陽気が極まるこの時期には、伐採や土木、軍事、諸侯の会盟など、人の大がかりな営みを避けよと説きます。季節の気の流れに逆らって大事を起こせば天災を招くという、天人相応の思想が背景にあります。一方で、増水期には治水の巡視を命じるなど、自然に沿った必要な手当ては怠りません。今は動くべきでない時を見極め、無理な事業を控えて備えに徹するという発想は、タイミングを重んじる経営判断やリスク管理の姿勢にも通じます。
この章句が説くこと
虞人土功天殃天人相応治水陰陽
関連する章句
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呂氏春秋・孟夏③是の月や、長きを繼ぎ高さを增し、壞隳すること有る無からしむ。土功を起こすこと無く、大衆を發すること無く、大樹を伐ること無からしむ。
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呂氏春秋・季夏⑦是の令を行えば、是の月、甘雨三たび至る。三旬は二日なり。季夏に春の令を行えば、則ち穀實解落し、國に風欬多く、人乃ち遷徙す。秋の令を行えば、則ち丘隰に水潦あり、禾稼熟さず、乃ち女災多し。冬の令を行えば、則ち寒氣時ならず、鷹隼早く鷙え、四鄙入りて保ず。
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呂氏春秋・仲夏④是の月や、日の長きこと至り、陰陽爭い、死生分かる。君子齋戒し、處るには必ず揜くし、身は靜かにして躁ぐこと無く、聲色を止め、進むること或る無く、滋味を薄くし、和を致すこと無く、嗜慾を退け、心氣を定めんことを欲す。百官は靜かにし、事は刑すること無く、以て晏陰の成す所を定む。鹿角は解ち、蟬は始めて鳴き、半夏生じ、木堇榮く。
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呂氏春秋・仲秋⑦是の令を行えば、白露降ること三旬なり。仲秋に春の令を行えば、則ち秋雨降らず、草木榮を生じ、國乃ち大恐有り。夏の令を行えば、則ち其の國は旱し、蟄蟲藏れず、五穀復た生ず。冬の令を行えば、則ち風災數々起こり、收雷先だちて行われ、草木早く死す。