呂氏春秋 / 古樂⑩
禹立,勤勞天下,日夜不懈,通大川,決壅塞,鑿龍門,降通漻水以導河,䟽三江五湖,注之東海,以利黔首。於是命皋陶作為《夏籥》九成,以昭其功。
新字:禹立,勤労天下,日夜不懈,通大川,決壅塞,鑿竜門,降通漻水以導河,䟽三江五湖,注之東海,以利黔首。於是命皋陶作為《夏籥》九成,以昭其功。
書き下し
禹立ちて、天下に勤勞し、日夜懈らず、大川を通じ、壅塞を決し、龍門を鑿ち、降いに漻水を通じて以て河に導き、三江五湖を疏して、之を東海に注ぎ、以て黔首を利す。是に於て皋陶に命じて夏籥九成を作為せしめ、以て其の功を昭らかにす。
現代語訳
禹が位に立つと、天下のために勤め励み、昼も夜も怠らず、大河を通し、ふさがった所を切り開き、龍門を掘り、大水を導いて黄河に流し込み、三江五湖の水を疏通させて東海に注ぎ、民を利した。そこで皋陶に命じて『夏籥』を九章にわたって作らせ、その功績を明らかにした。
解説
治水の英雄禹の功績と、それを讃える楽『夏籥』の由来を語る段です。禹は昼夜を分かたず働いて大河を通し、龍門を掘り、水を東海へ導いて民を潤しました。その偉業を記念して皋陶が『夏籥』九成を作ったといいます。ここでは音楽が、聖王の政治的功績を讃え後世に伝える記念碑の役割を担っています。治水という民の生活に直結する事業と、それを顕彰する音楽とが結びつく点に、楽が単なる娯楽ではなく徳と功を明らかにする公的な営みであったことがうかがえます。優れた働きを音楽で讃え記憶にとどめるという発想は、功績を歌や式典で顕彰する現代の慣習にも通じ、音楽の社会的な機能を示しています。
この章句が説くこと
禹治水竜門夏籥皋陶黔首