呂氏春秋 / 孟夏④
是月也,天子始絺。命野虞,出行田原,勞農勸民,無或失時。命司徒,(循)〔巡〕行縣鄙。命農勉作,無伏于都。
新字:是月也,天子始絺。命野虞,出行田原,労農勧民,無或失時。命司徒,(循)〔巡〕行県鄙。命農勉作,無伏于都。
書き下し
是の月や、天子始めて絺す。野虞に命じて、出でて田原を行り、農を勞い民を勸め、時を失うこと或る無からしむ。司徒に命じて、縣鄙を循行して、農に命じて作に勉め、都に伏すること無からしむ。
現代語訳
この月には、天子は初めて葛布の夏服を着る。野虞(山野を司る官)に命じて、田畑に出向いて回り、農民をねぎらい民を励まして、農事の時機を失うことがないようにさせる。司徒に命じて、県や辺鄙な地を巡回させる。農民に命じて耕作に励ませ、都市に閉じこもらせないようにする。
解説
この段は、初夏に入って天子が薄手の夏服に替え、農事を督励する官の務めを述べます。野虞に田畑を巡らせて農民をねぎらい、司徒に地方を巡回させ、農民を都に留めず耕作に専念させることが要点です。背景には、夏が農作業の最も忙しい季節であり、時機を逃さず農事を進めることが国の食を支えるという認識があります。天子の衣替えという小さな所作から、地方官の巡察、農民への督励までが一続きの季節の政治として描かれています。現代でも、繁忙期には現場を巡回して励まし、時機を逃さないよう段取りを整えるという、季節や状況に応じた業務管理の考え方に通じます。
この章句が説くこと
野虞司徒農事巡行勧農夏服
関連する章句
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呂氏春秋・孟夏②是の月や、立夏なるを以て、立夏に先だつこと三日、太史、之を天子に謁げて曰く、「某日立夏なり。盛德火に在り。」天子乃ち齋す。立夏の日、天子親ら三公九卿大夫を率いて、以て夏を南郊に迎う。還りて、乃ち賞を行う。侯に封じ慶賜して、欣説せざる無からしむ。乃ち樂師に命じて、禮樂を合するを習わしむ。太尉に命じて、傑儁を贊し、賢良を遂め、長大を舉げしむ。爵を行い祿を出だし、必ず其の位に當たらしむ。
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『淮南子』時則訓孟夏の月、招搖は巳を指し、昏に翼中し、旦に婺女中す。其の位は南方、其の日は丙丁、盛德は火に在り、其の蟲は羽、其の音は徵、律は仲呂に中たり、其の數は七、其の味は苦、其の臭は焦、其の祀は灶、祭には肺を先にす。螻蟈鳴き、丘螾出で、王瓜生じ、苦菜秀ず。天子は赤衣を衣、赤騮に乘り、赤玉を服し、赤旗を建て、菽と雞とを食らい、八風の水を服し、柘を爨き火を燧り、南宮の御女は赤色、赤采を衣、竽笙を吹き、其の兵は戟、其の畜は雞、明堂の左丢に朝し、以て夏令を出だす。立夏の日、天子親ら三公九卿大夫を率いて以て歲を南郊に迎う。還りて、乃ち賞賜し、諸侯を封じ、禮樂を修め、左右を饗す。太尉に命じ、傑俊を贊け、賢良を選び、孝悌を舉げ、爵を行い祿を出だし、天の長養を佐けしむ。繼ぎ修め增し高くし、隳壞有る無からしめ、土功を興す毋く、大樹を伐る毋し。野虞に令し、田原を行き、農事を勸め、獸畜を驅り、穀を害せしむる勿からしむ。天子彘を以て麥を嘗め、先ず寢廟に薦む。百藥を聚畜し、靡草死し、麥秋至り、小罪を決し、薄刑を斷ず。孟夏に秋令を行えば、則ち苦雨數ミ來たり、五穀滋らず、四鄰保に入る。冬令を行えば、則ち草木早く枯れ、後に乃ち大水あり、城郭を敗壞す。春令を行えば、則ち螽蝗敗を為し、暴風來格し、秀草實らず。四月は田を官とし、其の樹は桃なり。
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礼記・月令乃ち楽師に命じて礼楽を習合せしむ。太尉(たいい)に命じて桀俊(けつしゅん)を賛(すす)め、賢良を遂げ、長大を挙げ、爵を行い禄を出だすこと、必ず其の位に当たらしむ。是の月や、長ずるを継ぎ高きを増し、壊堕(かいだ)すること有る毋く、土功を起こすこと毋く、大衆を発すること毋く、大樹を伐ること毋かれ。是の月や、天子始めて絺(ち)す。野虞に命じて出でて田原を行(めぐ)り、天子の為に農を労い民に勧め、或いは時を失うこと毋からしむ。
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呂氏春秋・孟春④是の月や、天の気は下降し、地の気は上騰し、天地和同して、草木繁動す。王、農事を布く。田に命じて東郊に舎せしむ。皆封疆を修め、審らかに徑術を端し、善く丘陵・阪險・原隰の、土地の宜しき所、五穀の殖する所を相て、以て民を教道し、必ず躬ら之を親しくせしむ。田事既に飭い、先づ準直を定むれば、農乃ち惑わず。
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呂氏春秋・孟冬④是の月や、天子始めて裘す。有司に命じて曰く、「天氣上騰し、地氣下降し、天地通ぜず、閉じて冬を成せ。」百官に命じて、謹んで蓋藏せしむ。司徒に命じて、積聚を循行し、斂めざる有ること無からしむ。城郭を坿し、門閭を戒め、楗閉を修め、關籥を慎み、封璽を固くす。邊境に備え、要塞を全くし、關梁を謹み、蹊徑を塞ぐ。喪紀を飭え、衣裳を辧ち、棺槨の厚薄を審らかにし、丘壟に小大高卑薄厚の度、貴賤の等級を營る。
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礼記・月令司徒に命じて県鄙(けんぴ)を巡行し、農に命じて勉め作(な)さしめ、都に休むこと毋からしむ。是の月や、獣を駆りて五穀を害すること毋からしめ、大いに田猟すること毋かれ。農乃ち麦を登(みの)らせ、天子乃ち彘(ぶた)を以て麦を嘗(こころ)み、先ず寝廟に薦む。是の月や、百薬を聚畜す。靡草(びそう)死し、麦秋(ばくしゅう)至る。薄刑を断じ、小罪を決し、軽繫(けいけい)を出だす。蚕事畢(お)わり、后妃繭を献ず。乃ち繭税を収むるに、桑を以て均しきと為し、貴賤長幼一の如くし、以て郊廟の服に給す。

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