呂氏春秋 / 盡數④
輕水所多禿與癭人,重水所多尰與躄人,甘水所多好與美人,辛水所多疽與痤人,苦水所多尪與傴人。
新字:軽水所多禿与癭人,重水所多尰与躄人,甘水所多好与美人,辛水所多疽与痤人,苦水所多尪与傴人。
書き下し
輕水の所には禿と癭との人多く、重水の所には尰と躄との人多く、甘水の所には好と美との人多く、辛水の所には疽と痤との人多く、苦水の所には尪と傴との人多し。
現代語訳
軽い水の土地には、はげや首のこぶ(癭)の人が多く、重い水の土地には、脚気やあしなえ(躄)の人が多く、甘い水の土地には、姿かたちのよい美しい人が多く、辛い水の土地には、はれものやふきでもの(疽・痤)の人が多く、苦い水の土地には、鳩胸や佝僂(傴)の人が多い。
解説
土地の水質が住む人の体質や病気に影響するという、古代の環境衛生観を述べています。軽い水・重い水・甘い水・辛い水・苦い水それぞれの土地に多い症状を列挙し、水がよければ美しい人が育ち、水質に偏りがあれば特有の疾患が生じるとします。飲み水と健康を結びつけた観察であり、素朴ながら環境と身体のつながりに着目した点で注目されます。現代でも水質や土壌のミネラル組成が健康に影響することは知られており、暮らす環境が心身に及ぼす影響を意識する視点は、今日の公衆衛生や住環境選びにも通じます。
この章句が説くこと
軽水輕水重水甘水水質環境衛生
関連する章句
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呂氏春秋・盡數③流水は腐らず、戶樞螻せざるは、動けばなり。形氣も亦た然り。形動かざれば則ち精流れず。精流れざれば則ち氣鬱す。鬱、頭に處れば則ち腫を為し風を為す。耳に處れば則ち挶を為し聾を為す。目に處れば則ち䁾を為し盲を為す。鼻に處れば則ち鼽を為し窒を為す。腹に處れば則ち張を為し府を為す。足に處れば則ち痿を為し蹶を為す。
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呂氏春秋・盡數①天、陰陽を生じるや、寒暑燥溼、四時の化、萬物の變、利為らざるは莫く、害為らざるは莫し。聖人、陰陽の宜しきを察し、萬物の利を辧じて、以て生に便ず。故に精・神は形に安んじて、年壽長きを得。長しとは、短くして之を續ぐに非ざるなり。其の數を畢くすなり。數を畢くすの務めは、害を去るに在り。何をか害を去ると謂う。大甘・大酸・大苦・大辛・大鹹、五者、形に充つれば、則ち生害せらる。大喜・大怒・大憂・大恐・大哀、五者、神に接すれば、則ち生害せらる。大寒・大熱・大燥・大溼・大風・大霖・大霧、七者精を動かせば、則ち生害せらる。故に凡そ生を養うは、本を知るに若くは莫し。本を知れば則ち疾由りて至ること無し。
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呂氏春秋・本生②夫れ水の性は清し。土は之を抇す。故に清きを得ず。人の性は壽し。物は之を抇す。故に壽きを得ず。物なる者は、性を養う所以にして、性を以て養う所に非ざるなり。今の世の人、惑う者、多く性を以て物を養う。則ち輕重を知らざるなり。輕重を知らざれば、則ち重き者を輕しと為し、輕き者を重しと為す。此の若ければ、則ち動く毎に敗れざる無し。此を以て君と為れば悖り、此を以て臣と為れば亂り、此を以て子と為れば狂う。三者、國に一も有れば、幸い無くして必ず亡びん。
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呂氏春秋・盡數⑥今世、卜筮禱祠を上ぶ。故に疾病愈々來たる。之を譬うるに射る者、射て中らず、反て招を修めんとするが若し。何ぞ中るに益あらん。夫れ湯を以て沸を止めんとすれば、沸愈々止まらず。其の火を去れば則ち止む。故に巫醫毒藥、逐除して之を治むるは、故より古の人之を賤しむ。其の末を為せばなり。
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