呂氏春秋 / 季春④
是月也,命司空曰:「時雨將降,下水上騰;循行國邑,周視原野;修利隄防,導達溝瀆,開通道路,無有障塞;田獵罼弋,罝罘羅網,餧獸之藥,無出國門。」
新字:是月也,命司空曰:「時雨将降,下水上騰;循行国邑,周視原野;修利隄防,導達溝瀆,開通道路,無有障塞;田猟罼弋,罝罘羅網,餧獣之薬,無出国門。」
書き下し
是の月や、司空に命じて曰く、「時雨將に降らんとす、下水は上騰せん。國邑を循行し、原野を周視し、隄防を修理し、溝瀆を導達し、道路を開通して、障塞有ること無からしめよ。田獵の罼弋・罝罘羅の網、餧獸の藥は、九門より出だすこと無からしめよ。」
現代語訳
この月、天子は土木を司る司空に命じて言う。「季節の雨がまさに降ろうとし、地下水位も上がってくる。国や町を巡り歩き、野原をあまねく見回り、堤防を修理し、水路を掘り通し、道路を開通させて、ふさがり滞る所がないようにせよ。狩猟用の掩い網やいぐるみ、兎網・鹿網・鳥網、獣を捕るための毒薬などは、(王気の宿らない西・南・北の)九つの門から持ち出させるな。」
解説
雨季を前にした晩春の土木・環境政策を述べています。司空(土木担当官)に命じて堤防を直し水路や道路を整え、水はけを良くして災害に備えさせる一方、繁殖期にあたる春には狩猟具や毒薬の持ち出しを禁じて生き物の乱獲を戒めます。防災インフラの整備と生態系の保護を、季節に応じて同時に指示している点が特徴です。現代でも、梅雨や増水期の前に排水設備や道路を点検し、繁殖期の乱獲や乱開発を控えることは理にかなっています。備えと自制を季節に合わせて行う知恵が示されています。
この章句が説くこと
司空時雨隄防溝瀆田猟乱獲防止