呂氏春秋 / 仲春②
是月也,安萌牙,養幼少,存諸孤。擇元日,命人社。命有司,省囹圄,去桎梏,無肆掠,止獄訟。
新字:是月也,安萌牙,養幼少,存諸孤。択元日,命人社。命有司,省囹圄,去桎梏,無肆掠,止獄訟。
書き下し
是の月や、萌牙を安んじ、幼少を養い、諸孤を存む。元日を擇び、人に命じて社せしむ。有司に命じて囹圄を省き、桎梏を去り、肆掠無く、獄訟を止ましむ。
現代語訳
この月には、芽生えたばかりの草木を安らかに育て、幼い者を養い、みなしごをいたわる。よい日を選び、人々に命じて土地の神(社)をまつらせる。裁判をつかさどる役人に命じて牢獄をゆるめ、手かせ足かせを外させ、むやみな死刑や笞打ちをやめさせ、訴訟を止めさせる。
解説
この段は、生命が芽吹く春という季節にふさわしい、寛容で慈愛にみちた政治を説きます。芽生えを守り、幼少者やみなしごをいたわり、社をまつって五穀の実りを祈る一方で、牢獄をゆるめ、刑罰を軽くし、訴訟を止めさせます。これは、万物が育つ春の気に人の政治を合わせるという月令の思想の具体例で、季節の徳に逆らわない為政の心得を示しています。呂氏春秋は、天子の行いが自然の運行と調和すべきことを繰り返し強調します。現代でも、成長の時期には厳しく取り締まるより、育て、いたわる姿勢が実りを生むという教訓として読むことができます。
この章句が説くこと
仲春仁政社刑罰の緩和慈愛孤児