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六祖壇経 / 行由品第一

惠能進曰:「不是風動,不是幡動,仁者心動。」 一眾駭然,印宗延至上席,征詰奧義,見惠能言簡理當,不由文字。 宗云:「行者定非常人,久聞黃梅衣法南來,莫是行者否?」

新字:恵能進曰:「不是風動,不是幡動,仁者心動。」 一眾駭然,印宗延至上席,征詰奥義,見恵能言簡理当,不由文字。 宗云:「行者定非常人,久聞黄梅衣法南来,莫是行者否?」

書き下し

惠能進みて曰く、「是れ風の動くにあらず、是れ幡の動くにあらず、仁者の心動くなり」と。一眾駭然たり。印宗延きて上席に至らしめ、奧義を征詰するに、惠能の言簡にして理當り、文字に由らざるを見る。宗云く、「行者は定めて常人に非ず。久しく黃梅の衣法南に來ると聞く。是れ行者にあらざるか」と。

現代語訳

慧能は進み出て言った。「風が動くのでもない、幡が動くのでもない、あなたがたの心が動くのだ」。一同は驚いた。印宗は慧能を上席に招き、奥深い教えを問いただしたところ、慧能の言葉は簡潔で筋が通っており、文字によっていないことを見てとった。印宗は言った。「行者はきっと只者ではない。久しく黄梅(五祖)の衣と法が南へ来たと聞いております。それはあなたではありませんか」。

解説

禅の逸話として最も有名な場面である。二人の僧が、旗が動いているのか風が動いているのかを論じていた。慧能はそこに割って入り、「仁者の心動くなり」と言った。風か旗かという二択そのものを外し、そう見ている側に返した。議論の型を問い直す一撃である。ただし続きも大事だ。印宗は驚いて上席に招き、問いただし、「言簡にして理當り、文字に由らざる」ことを見てとった。一言の鋭さだけで認められたのではなく、聞き手が確かめ、筋が通っていることを見きわめている。そのうえで正体を言い当てた。十五年隠れていた慧能は、ここでようやく世に出る。

この章句が説くこと

非風動非幡動仁者心動印宗二択を外す

この一句を、あなたの毎日に。

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