六祖壇経 / 行由品第一
大師告眾曰:『善知識!菩提自性,本來清淨,但用此心,直了成佛。善知識!且聽惠能行由得法事意。
新字:大師告眾曰:『善知識!菩提自性,本来清浄,但用此心,直了成仏。善知識!且聴恵能行由得法事意。
書き下し
大師眾に告げて曰く、「善知識よ、菩提の自性は、本來清淨なり。但だ此の心を用ゐれば、直ちに了りて成佛す。善知識よ、且く惠能が行由得法の事意を聽け」と。
現代語訳
大師は集まった人々に告げた。「善知識よ、悟りの本性は、もともと清らかである。ただこの心を用いれば、そのまま悟って仏となる。善知識よ、しばらく私・慧能が道を歩み法を得たいきさつを聴きなさい」。
解説
『六祖壇経』の第一声である。慧能はまず、悟りは外から得るものではないと宣言する。「菩提の自性は、本來清淨なり」——悟りの本性はもともと清らかだ。だから修行して汚れを落とすのではなく、「但だ此の心を用ゐれば、直ちに了りて成佛す」。いま使っているこの心をそのまま用いれば、それで済む。段階も年数も置かない。この一句が、のちに南宗禅の頓悟として展開していく。そしてすぐに「且く惠能が行由得法の事意を聽け」——まず私がどうやって法を得たかを聴け、と自伝に入る。教理を説く前に自分の話をする。字も読めない木こりだった男が六祖になるまでの一部始終が、そのまま教えの本体になっている。
この章句が説くこと
菩提自性本来清浄但用此心直了成仏頓悟