大祓詞 / 語問ひし磐根樹の立
如此依し奉し国中に荒振神達をば 神問しに問し賜ひ 神掃に掃賜ひて 語問し磐根樹の立草の垣葉をも語止て 天磐座放ち 天の八重雲を伊頭の千別に千別て 天降依し奉き
書き下し
かく依さし奉りし国中に、荒ぶる神たちをば、神問わしに問わし給い、神掃いに掃い給いて、語問いし磐根・樹の立ち・草の垣葉をも語止めて、天の磐座放ち、天の八重雲を伊頭の千別きに千別きて、天降し依さし奉りき。
現代語訳
こうして委ねられた国の中の、荒ぶる神たちを、神問いに問いただし、神掃いに掃い払って、ものを言っていた岩や木の立ち姿、草の葉に至るまで言葉を止めさせ、天の磐座を離れ、天の八重雲を勢いよく幾重にも押し分けて、天降らせ、ことを委ねられた。
解説
荒ぶる神を「問わし」てから「掃い」ている。いきなり排除するのではなく、まず問いただす順序が置かれているのは注目に値する。次の一句が独特である。「語問いし磐根・樹の立ち・草の垣葉をも語止めて」——岩も木も草も、それまで言葉を発していたのを黙らせた、と。天降りの前に世界が静まるという情景で、日本語の古い層に残る、ものみなが語る世界観がここに見える。ただしこれは神話の語りであって、事実の記述ではない。読むべきは、統治の開始が「問う」「掃う」「静める」という三つの手続きとして描かれていることのほうだろう。
この章句が説くこと
荒ぶる神神問わし語問いし磐根天降し