大祓詞 / 神議に議り賜ひて
高天原に神留り坐す 皇親神漏岐神漏美の命以ちて 八百万の神等を 神集に集賜ひ 神議に議賜て 我が皇孫之尊は 豊葦原の水穂の国を 安国と平けく所知食と事依し奉き
書き下し
高天原に神留まり坐す、皇親神漏岐・神漏美の命もちて、八百万の神たちを、神集えに集え給い、神議りに議り給いて、我が皇孫の尊は、豊葦原の水穂の国を、安国と平らけく知ろし召せと事依さし奉りき。
現代語訳
高天原にいます皇祖の神漏岐・神漏美の命によって、八百万の神々を神集えに集め、神議りに議り合わせて、我が皇孫の尊に、豊葦原の水穂の国を、安らかな国として平らかに治めよと、ことを委ねられた。
解説
統治の委任が、単独の命令ではなく会議を経て行われている。八百万の神を集め、議り合わせ、そのうえで「事依さし奉りき」——ことを委ねた、と言う。神話の語りだが、権限の由来を合議に置いた形が残っているのは面白い。委任の内容も具体的である。「安国と平らけく知ろし召せ」、安らかな国として平らかに治めよ。支配せよでも所有せよでもなく、平らかに保てという条件つきの委任になっている。この一段は後段の伏線でもある。委ねられた条件が「平らけく」である以上、その平らかさを乱す罪を半年ごとに祓う手続きが要る、という筋になっている。
この章句が説くこと
神集え神議り事依さし奉る安国と平らけく