大祓詞 / 諸聞食せと宣る
集侍はれる親王 諸王 諸臣 百官人等諸聞食せと宣る 天皇が朝廷に仕奉る 比礼挂くる伴男 手襁挂くる伴男 靫負ふ伴男 剱佩く伴男 伴男の八十伴男を始めて 官官に仕奉る人等の 過犯しけむ雑雑の罪を 今年の六月の晦の大祓に 祓給ひ清給ふ事を 諸聞食せと宣る
書き下し
うごなわれる親王たち、諸王たち、諸臣たち、百官の人たち、諸々聞こし召せと宣る。天皇が朝廷に仕え奉る、比礼掛くる伴の男、手襁掛くる伴の男、靫負う伴の男、剣佩く伴の男、伴の男の八十伴の男を始めて、官々に仕え奉る人どもの、過ち犯しけむ種々の罪を、今年の六月の晦の大祓に、祓い給い清め給うことを、諸々聞こし召せと宣る。
現代語訳
ここに集まっている親王たち、諸王たち、諸臣たち、百官の人たち、皆々よく聞きなさい、と宣る。朝廷にお仕えする、比礼を掛ける者、襷を掛ける者、靫を負う者、剣を佩く者——その八十のともがらを始めとして、それぞれの役所に仕えるすべての人が、過って犯したであろうさまざまな罪を、今年の六月末日の大祓によって祓い清めるということを、皆々よく聞きなさい、と宣る。
解説
大祓詞は、六月と十二月の晦日に朝廷で読み上げられた祓の詞である。冒頭が名指しから始まるのが目を引く。親王・諸王・諸臣・百官——身分の上から下まで、その場にいる全員が対象として呼ばれる。次に職掌が並ぶ。比礼を掛ける者、襷を掛ける者、靫を負う者、剣を佩く者。装束と道具で役割を示す言い方で、要するに全部署である。そのうえで「過ち犯しけむ種々の罪」と言う。誰が何をしたかを問わず、この半年に生じた過ちをまとめて対象にする。犯人を特定して罰する場ではなく、組織全体の澱みを定期的に落とす場だという設計が、最初の数行で示されている。
この章句が説くこと
大祓諸聞こし召せ八十伴の男種々の罪
関連する章句
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『大祓詞』太祝詞事を宣れかく出でば、天つ宮事もちて、大中臣、天つ金木を本打ち切り末打ち断ちて、千座の置座に置き足らわして、天つ菅曾を本刈り断ち末刈り切りて、八針に取り裂きて、天つ祝詞の太祝詞事を宣れ。
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『大祓詞』罪と云ふ罪は在らじかく気吹き放ちては、根の国・底の国に坐す速佐須良比咩という神、持ちさすらい失いてむ。かく失いてば、今日より始めて罪という罪は在らじと、高天原に耳振り立てて聞くものと馬牽き立てて、今年の六月の晦日の、夕日の降ちの大祓に、祓い給い清め給う事を、諸々聞こし召せと宣る。四つの国の卜部ら、大川道に持ち罷り出でて祓い却れと宣る。
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『大祓詞』科戸の風の吹き放つ事の如くかく聞こし召してば、皇御孫の命の朝廷を始めて、天の下四方の国には、罪という罪は在らじと、科戸の風の天の八重雲を吹き放つ事の如く、朝の御霧・夕の御霧を朝風・夕風の吹き掃う事の如く、大津辺に居る大船を、舳解き放ち艫解き放ちて大海原に押し放つ事の如く、彼方の繁木が本を焼鎌の敏鎌もちて打ち掃う事の如く、遺る罪は在らじと、祓い給い清め給う事を、高山の末・短山の末より、佐久那太理に落ち多岐つ速川の瀬に坐す瀬織津比咩という神、大海原に持ち出でなむ。かく持ち出で往なば、荒潮の潮の八百道の八潮道の潮の八百会に坐す速開都比咩という神、持ちかか呑みてむ。かくかか呑みては、気吹戸に坐す気吹戸主という神、根の国・底の国に気吹き放ちてむ。
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『大祓詞』神議に議り賜ひて高天原に神留まり坐す、皇親神漏岐・神漏美の命もちて、八百万の神たちを、神集えに集え給い、神議りに議り給いて、我が皇孫の尊は、豊葦原の水穂の国を、安国と平らけく知ろし召せと事依さし奉りき。
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『大祓詞』天つ神国つ神かく宣らば、天つ神は天の磐門を押し披きて、天の八重雲を伊頭の千別きに千別きて聞こし召さむ。国つ神は高山の末・短山の末に登り坐して、高山の伊穂理・短山の伊穂理を掻き別けて聞こし召さむ。

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