孟子 / 盡心章句下
孟子曰、口之於味也、目之於色也、耳之於聲也、鼻之於臭也、四肢之於安佚也、性也。有命焉、君子不謂性也。仁之於父子也、義之於君臣也、禮之於賓主也、智之於賢者也、聖人之於天道也、命也。有性焉、君子不謂命也。
新字:孟子曰、口之於味也、目之於色也、耳之於声也、鼻之於臭也、四肢之於安佚也、性也。有命焉、君子不謂性也。仁之於父子也、義之於君臣也、礼之於賓主也、智之於賢者也、聖人之於天道也、命也。有性焉、君子不謂命也。
書き下し
孟子曰く、「口の味に於けるや、目の色に於けるや、耳の聲に於けるや、鼻の臭に於けるや、四肢の安佚に於けるや、性なり。命有り、君子は性と謂わざるなり。仁の父子に於けるや、義の君臣に於けるや、禮の賓主に於けるや、智の賢者に於けるや、聖人の天道に於けるや、命なり。性有り、君子は命と謂わざるなり。」
現代語訳
孟子は言った。 「口がうまい味を求め、目が美しい色を求め、耳が美しい音色を求め、鼻がよい香りを求め、手足が安逸を求めるのは、人間の本性である。しかし、それらが得られるかどうかは天命であって、誰でも得られるものではない。だから君子はそれらを性とはみなさずに強いて求めようとしないのだ。父子にとっての仁、君臣にとっての義、客と主人とにとっての礼、賢者にとっての智、聖人にとっての天道、これらは天命であるので、現実にどの程度行われるかどうかは分からない。しかしこれらは天命であると同時に、善は善とし惡は惡とする人間の本性が根底にある。だから君子はこれらを運命とみなして諦めるのででなく、努力するのである。」
解説
この章句が説くこと
関連する章句
-
孟子・盡心章句上孟子曰く、「廣土衆民は、君子之を欲するも、樂しむ所は存せず。天下に中して立ち、四海の民を定むるは、君子之を樂しむも、性とする所は存せず。君子の性とする所は、大いに行わると雖も加わらず、窮居すと雖も損せず。分定まるが故なり。君子の性とする所は、仁義禮智、心に根ざし、其の色に生ず。睟然として面に見われ、背に盎れ、四體に施き、四體言わずして喻る。」
-
『講孟余話』盡心下 第二十四章此の章を以て告子上篇論ずる所の性を知るべし。口の味、目の色、耳の声、鼻の臭、四肢の安佚、是れ皆形気上の欲なれば、孟子は性と云はず。父子の仁、君臣の義、賓主の礼、賢者の智、聖人の天道、皆是れ人心固有の理なれば、孟子の性を云ふ、学者手を下す喫緊の工夫なり。故に孟子未だ曾て気質の性を云はず、疎なるにあらず、教へをなす所以なり。詳らかに告子上篇第六章に割記す。仁義礼智信五常の説は、漢儒五行配当の牽強より出でたることにて、古は五字並べ称せず、孟子の四端も信は其の数に在らずと古学者の説なり。余常に五倫五常を以て合せ云はんと欲して、未だ其の拠を得ず。
-
孟子・盡心章句上孟子曰く、「其の心を盡くせば、其の性を知るなり。其の性を知れば、則ち天を知る。其の心を存し、其の性を養うは、天に事うる所以なり。殀壽貳せず、身を修めて以て之を俟つは、命を立つる所以なり。」
-
孟子・告子章句上孟子曰く、「富歲には、子弟、賴多く、凶歲には、子弟、暴多し。天の才を降すこと、爾く殊なるに非ざるなり。其の、其の心を陷溺する所以の者然るなり。今、夫れ麰麥(ボウ・バク)、種を播して之を耰(ユウ)す。其の地同じく、之を樹うる時又同じ。浡然(ボツ・ゼン)として生じ、日至の時に至りて皆熟す。同じからざる有りと雖も、則ち地に肥磽(ヒ・コウ)有り、雨露の養い、人事の齊しからざればなり。故に凡そ類を同じうする者は、舉相似たり。何ぞ獨り人に至りて、之を疑わん。聖人も我と類を同じうする者なり。故に龍子曰く、『足を知らずして屨を為るも、我其の蕢(キ)を為らざるを知る。』屨の相似たるは、天下の足同じければなり。口の味に於ける、同じく耆むこと有るなり。易牙は先づ我が口の耆む所を得たる者なり。如し口の味に於けるや、其の性人と殊ること、犬馬の我と類を同じうせざるが若くならしめば、則ち天下何ぞ耆むこと皆易牙の味に於けるに從わんや。味に至りては、天下、易牙に期す。是れ天下の口相似たればなり。惟だ耳も亦た然り。聲に至りては、天下、師曠に期す。是れ天下の耳相似たればなり。惟れ目も亦た然り。子都に至りては、天下、其の姣を知らざる莫きなり。子都の姣なるを知らざる者は、目無き者なり。故に曰く、『口の味に於けるや、同じく耆むこと有り。耳の聲に於けるや、同じく聽くこと有り。目の色に於けるや、同じく美とすること有り。心に至りて、獨り同じく然りとする所無からんや。』心の同じく然りとする所の者は何ぞや。謂わく、理なり、義なり。聖人は先づ我が心の同じく然りとする所を得たるのみ。故に理義の我が心を悅ばすは、猶ほ芻豢の我が口を悅ばすがごとし。」
-
孟子・盡心章句下孟子曰く、「堯・舜は性のままなる者なり。湯・武は之に反るなり。動容周旋、禮に中る者は、盛德の至りなり。死を哭して哀しむは、生者の為に非ざるなり。經德回ならざるは、以て禄を干むるに非ざるなり。言語必ず信なるは、以て行いを正すに非ざるなり。君子は法を行いて、以て命を俟つのみ。」
-
孟子・盡心章句上孟子曰く、「求むれば則ち之を得、舍つれば則ち之を失う。是れ求めて得るに益有るなり。我に在る者を求むればなり。之を求むるに道有り。之を得るに命有り。是れ求めて得るに益無きなり。外に在る者を求むればなり。」
人生の答えは、ぜんぶ古典に書いてあった。
古典の入門書『人生の教科書』(PDF)と、師導の全機能1か月がセットで700円。二十四の悩みに、論語・老子・孫子から徒然草・五輪書までが答えます。
本の中身を見る