孟子 / 告子章句上
告子曰:「生之謂性。」孟子曰:「生之謂性也,猶白之謂白與?」曰:「然。」「白羽之白也,猶白雪之白;白雪之白,猶白玉之白歟?」曰:「然。」「然則犬之性猶牛之性,牛之性猶人之性歟?」
新字:告子曰:「生之謂性。」孟子曰:「生之謂性也,猶白之謂白与?」曰:「然。」「白羽之白也,猶白雪之白;白雪之白,猶白玉之白歟?」曰:「然。」「然則犬之性猶牛之性,牛之性猶人之性歟?」
書き下し
告子曰く、「生之を性と謂ふ。」孟子曰く、「生之を性と謂ふは、猶ほ白之を白と謂ふがごときか。」曰く、「然り。」「白羽の白きは、猶ほ白雪の白きがごとく、白雪の白きは、猶ほ白玉の白きがごときか。」曰く、「然り。」「然らば則ち犬の性は猶ほ牛の性のごとく、牛の性は猶ほ人の性のごときか。」
現代語訳
告子(こくし、孟子と論争した思想家)が言った。「生まれつき備わっているもの、それを性という。」孟子は言った。「生まれつきのものを性というのは、白いものを白というのと同じようなものか。」告子は言った。「そうだ。」孟子は言った。「白い羽の白さは白い雪の白さと同じであり、白い雪の白さは白い玉の白さと同じであるか。」告子は言った。「そうだ。」孟子は言った。「それならば、犬の性は牛の性と同じであり、牛の性は人の性と同じだというのか。」
解説
性善説をめぐる告子との論争の一場面です。告子は、生まれつき備わっているものがそのまま性だと主張します。孟子は、それは白いものを白というのと同じかと確かめ、白い羽も白い雪も白い玉も白さは同じだと告子に認めさせたうえで、それなら犬の性も牛の性も人の性も同じなのかと切り返します。食欲や生存本能のように生き物に共通するものだけを性と呼ぶなら、人と獣の区別がなくなってしまいます。孟子は、人を人たらしめるのは惻隠・羞悪・辞譲・是非の四端であり、そこにこそ人の性の本質があると考えました。仕事でも、人を報酬や欲求だけで動く存在とみなすと、誇りや良心といった人間らしい力を引き出せなくなります。
この章句が説くこと
人間らしさ性善人性倫理観本能告子
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