孟子 / 離婁章句下
孟子曰、大人者、不失其赤子之心者也。
書き下し
孟子曰く、「大人なる者は、其の赤子の心を失わざる者なり。」 <語釈> ○「大人」、趙注:大人は君を謂う。これに因れば、「大人」は国君を指しているが、前節に続き、広義に大人物と解釈し、具体的には国君であると解釈しておくのがよいだろう。
現代語訳
孟子は言った。 「大人物は、赤子のような純粋な心を失わないものである。」
解説
「大人なる者は、其の赤子の心を失わざる者なり」――孟子はこの一句で、真に立派な人物の条件を鋭く言い当てます。大人は社会的地位や経験を積んでも、純真無垢な赤子のような心を忘れないものです。地位が上がり駆け引きを覚えるほど、人は損得や体裁を優先しがちですが、孟子が理想とするのはその逆、原点にある素直さを保ち続ける人物像です。現代のビジネスや人間関係においても、打算や損得勘定ばかりにとらわれるのではなく、素直な心や初心を持ち続けることが信頼や自己の成長につながります。経験を重ねるほど、自分の中にある純粋な思いを大切に育てていく姿勢が問われているのです。
この章句が説くこと
赤子の心純粋さ初心大人
関連する章句
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『講孟余話』離婁下 第十二章「赤子の心は純一無偽のみ」と註す。純一なれば些とも利害を計較するの念なく、無偽なれば些とも機変巧詐の行ひなし。故に富貴貧賤死生苦楽一つも外物の為めに誘はるることなく、鉄石の腸を以て万事に酬酢す、天下何事かなすべからざらん。此の篇大人を論ずる凡そ三章。第六章は大人の為さざる所を云ひ、第十一章は大人の為す所を云ひ、此の章に至りて大人の胸中を云ふ。即ち為す所為さざる所の根本なり。
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『格言聯璧』敦品類・大人は赤子の心を失はず丈夫の高華は、只だ功名氣節に在り。 鄙夫の炫耀は、但だ諸を服飾起居に求む。 阿諛して容を取るは、男子は妾婦の道を爲すを恥づ。 本眞鑿たれず、大人は赤子の心を失はず。 君子の上に事ふるや、必ず忠以て敬、其の下に接するや、必ず謙以て和。
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孟子・告子章句下孟子曰く、「君子は亮ならずんば、惡にか執らん。」
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孟子・離婁章句下孟子曰く、「大人なる者は、言必ずしも信ならず。行い必ずしも果ならず。惟だ義の在る所のままなり。」
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