古語拾遺 / 戮力一心
大己貴神與少彥名神。共戮力一心經營天下。爲蒼生畜產定療病之方。又爲攘鳥獸昆蟲之災。定禁厭之法。百姓至今咸蒙恩賴。皆有效驗也。
新字:大己貴神与少彥名神。共戮力一心経営天下。為蒼生畜産定療病之方。又為攘鳥獣昆虫之災。定禁厭之法。百姓至今咸蒙恩頼。皆有効験也。
書き下し
大己貴神と少彦名神と、共に力を戮せ心を一にして天下を経営し、蒼生・畜産の為に療病の方を定む。又鳥獣昆虫の災を攘わんが為に、禁厭の法を定む。百姓、今に至るまで咸な恩頼を蒙り、皆な効験有るなり。
現代語訳
大己貴神と少彦名神は、力を合わせ心を一つにして天下を経営し、人々と家畜のために病を治す方法を定めた。また鳥獣や虫の害を払うために、まじないの法を定めた。人々は今に至るまで皆その恵みを受け、みな効き目があるという。
解説
「戮力一心」という言葉が、この書で最も引かれてきた一句である。二柱が力を合わせ、心を一つにして天下を経営した、と。経営という語がここで使われているのも目を引く。そして具体が続く。病を治す方法を定め、害虫や獣の害を払う法を定めた。国を治めるとは、まず人と家畜が生きられるようにすることだという順序である。大己貴神は国土の神、少彦名神は小さな知恵の神とされ、性格の違う二柱が組んだことが強調されている。同質の二人ではなく、異なる二人が心を一つにする——協業の原型として読める一段である。
この章句が説くこと
戮力一心天下を経営す療病の方少彦名神