荀子 / 哀公篇
魯哀公問於孔子曰:「吾欲論吾國之士,與之治國,敢問如何取之邪?」孔子對曰:「生今之世,志古之道:居今之俗,服古之服;舍此而為非者,不亦鮮乎!」
新字:魯哀公問於孔子曰:「吾欲論吾国之士,与之治国,敢問如何取之邪?」孔子対曰:「生今之世,志古之道:居今之俗,服古之服;舎此而為非者,不亦鮮乎!」
書き下し
魯の哀公、孔子に問いて曰く、吾、吾が国の士を論(えら)び、之と国を治めんと欲す。敢えて問う、如何にして之を取らんや、と。孔子対えて曰く、今の世に生まれて古の道を志し、今の俗に居りて古の服を服す。此に舍(お)りて非を為す者は、亦た鮮(すく)なからずや、と。
現代語訳
魯の哀公が孔子に尋ねた。私は自分の国の人材を選び、その者たちとともに国を治めたい。どのようにして人を選べばよいか、お尋ねしたい。孔子は答えた。今の世に生まれながら古の道を志し、今の風俗のただ中にありながら古の衣服を身につけている。そういう立場に身を置いていて、なお悪事をなす者は、まことに少ないものです。
解説
哀公篇の幕開けで、魯の君主である哀公が孔子に人材登用の基準を問う場面です。孔子の答えは、今の時代に生きながら古の道を志し、今の風俗の中にいながら古の礼にかなった装いを保つ者を採れ、というものでした。ここでの「古の道」は懐古趣味ではなく、時流に流されない基準を自分の内に持っているかどうかを指します。周囲がどう振る舞っても、自分の拠り所を手放さない人。そういう人が悪事に手を染めることはめったにない、というのが孔子の見立てです。人を採用したり、大事な仕事を任せたりするとき、私たちはつい実績や器用さに目を奪われます。しかし本当に見るべきは、流行や空気に押し流されずに立ち続けられる芯があるかどうかです。孔子はその芯の有無を、日々の身の処し方から見抜けと言っています。