荀子 / 大略篇
知者明於事,達於數,不可以不誠事也。故曰:「君子難說,說之不以道,不說也。」
新字:知者明於事,達於数,不可以不誠事也。故曰:「君子難説,説之不以道,不説也。」
書き下し
知者は事に明らかに、数(すう)に達す。以て事(つか)ふるに誠ならざるべからざるなり。故に曰く、「君子は説(よろこ)ばしめ難し、之を説ばしむるに道を以てせざれば、説ばざるなり」と。
現代語訳
知恵ある人は物事の実情に明るく、その道理や仕組みにも通じている。だから、そのような人に対しては、誠意をもって事に当たらなければならない。だからこう言われる。「君子は喜ばせにくい。道にかなわないやり方で喜ばせようとしても、喜ばないのである」。
解説
見識のある人ほど、ごまかしが利かない、という話です。知者は物事の実情に明るく、その裏にある道理や仕組みまで見通している。だから、口先のお世辞や体裁だけの取りつくろいは、すぐ見破られます。そういう相手に向き合うには、誠実であるほかない。引用される「君子は喜ばせにくい」という言葉も、君子が気難しいという意味ではありません。正しいやり方でなければ喜ばない、逆に言えば道にかなっていれば素直に喜ぶ、ということです。上司や取引先の機嫌を取ろうとして小細工を弄するより、筋の通った仕事を誠実に届けるほうが、結局は評価される。相手を見る目が確かであればあるほど、この原則は強く働きます。ごまかしの通じない相手こそ、実は最も付き合いやすい相手なのかもしれません。