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荀子 / 大略篇

君人者不可以不慎取臣,匹夫不可不慎取友。友者、所以相有也。道不同,何以相有也?均薪施火,火就燥;平地注水,水流濕。夫類之相從也,如此其著也,以友觀人,焉所疑?取友善人,不可不慎,是德之基也。《詩》曰:「無將大車,維塵冥冥。」言無與小人處也。

新字:君人者不可以不慎取臣,匹夫不可不慎取友。友者、所以相有也。道不同,何以相有也?均薪施火,火就燥;平地注水,水流湿。夫類之相従也,如此其著也,以友観人,焉所疑?取友善人,不可不慎,是徳之基也。《詩》曰:「無将大車,維塵冥冥。」言無与小人処也。

書き下し

人に君たる者は以て臣を取るに慎まざるべからず。匹夫は友を取るに慎まざるべからず。友なる者は、相有(あいたも)つ所以(ゆゑん)なり。道同じからずんば、何を以て相有たんや。薪を均(ひと)しくして火を施せば、火は燥(かわ)けるに就(つ)く。地を平らかにして水を注げば、水は湿(うるほ)へるに流る。夫れ類の相従ふや、此くの如く其れ著(あきら)かなり。友を以て人を観れば、焉(いづ)くんぞ疑ふ所あらん。友を取り人を善くすること、慎まざるべからず。是れ徳の基(もとゐ)なり。詩に曰く、「大車を将(すす)むる無かれ、維(こ)れ塵冥冥(めいめい)たらん」と。小人と処(を)る無かれと言ふなり。

現代語訳

君主たる者は臣下を選ぶのに慎重でなければならず、庶民は友を選ぶのに慎重でなければならない。友とは、たがいに支え合い保ち合うためのものである。歩む道が同じでなければ、どうして支え合うことができようか。薪を平らに積んで火をつければ、火は乾いたほうへ燃え移る。地面を平らにして水を注げば、水は湿ったほうへ流れる。同類が引き合うことは、これほどはっきりしている。だから友を見ればその人が分かるのであって、そこに疑いを差し挟む余地はない。よい友を選んで身を高めることには、慎重でなければならない。これこそ徳の土台である。詩経に「大きな荷車を押してはならない、もうもうと土ぼこりで真っ暗になるだけだ」とある。つまり、小人と一緒にいてはならない、ということである。

解説

人は付き合う相手に似ていく、という話を、火と水のたとえで説いた一段です。火は乾いた薪へ、水は湿った低い所へ流れる。同じ性質のものが自然に引き合うのは、それほど明白な理屈だ、というのです。だからこそ、友を見ればその人が分かる。人物を判断するとき、本人の言葉より周囲の顔ぶれのほうが正直だ、というわけです。荀子はこれを君主の人事にも当てはめ、臣下選びと友選びを並べて論じます。最後に詩経の一句を引いて、大きな荷車を押せば土ぼこりで前が見えなくなる、つまり小人と行動を共にすれば自分の視界まで曇る、と結びます。友を選ぶことは徳の土台だという言葉は重く、環境を選ぶこと自体が修養の一部なのだと教えます。今の自分の交友関係や職場は、なりたい自分に近づけてくれる場所でしょうか。

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