荀子 / 大略篇
八十者一子不事,九十者舉家不事,廢疾非人不養者,一人不事,父母之喪,三年不事,齊衰大功,三月不事,從諸侯來,與新有昏,期不事。
新字:八十者一子不事,九十者舉家不事,廃疾非人不養者,一人不事,父母之喪,三年不事,斉衰大功,三月不事,従諸侯来,与新有昏,期不事。
書き下し
八十の者は一子を事せしめず、九十の者は家を挙げて事せしめず、廃疾にして人に非ざれば養はれざる者は、一人を事せしめず。父母の喪には、三年事せしめず。斉衰大功には、三月事せしめず。諸侯より従ひ来たる者と、新たに昏有る者とは、期年事せしめず。
現代語訳
八十歳の老人がいる家では、子のうち一人を公の労役に就かせない。九十歳の老人がいる家では、家じゅうの者を労役に就かせない。重い病や障碍があり、人の手を借りなければ生きられない者がいる家では、一人を労役に就かせない。父母の喪にある者は三年間、労役に就かせない。斉衰や大功の喪服を着る近親の喪にある者は三か月間、労役に就かせない。他国の諸侯のもとから従って移ってきた者、および新たに結婚した者は、一年間、労役に就かせない。
解説
公の労役を免除する条件を、細かく列挙した一段です。高齢の親がいる家、看護を要する家族がいる家、喪に服している者、移住してきたばかりの者、結婚したばかりの者。いずれも、家の中に手を必要とする事情がある人たちです。荀子は、そうした人を国の仕事に駆り出さないと明記しました。ここで大切なのは、免除が恩情としてではなく制度として定められている点です。誰を、どんな事情で、どれだけの期間免じるのかがあらかじめ決まっている。だから頼み込む必要も、後ろめたさもありません。介護や忌引の休暇制度を持つ現代の私たちにも、そのまま響く発想でしょう。制度として先に決めておくこと。それが、人が人らしい事情を抱えたまま働き続けられる社会の条件です。