荀子 / 大略篇
《易》曰:「復自道,何其咎?」春秋賢穆公,以為能變也。
新字:《易》曰:「復自道,何其咎?」春秋賢穆公,以為能変也。
書き下し
易に曰く、「道より復る、何ぞ其れ咎あらん」と。春秋は穆公を賢とす、以て能く変ずと為せばなり。
現代語訳
易に「正しい道へ立ち返るのだから、どうして咎めがあろうか」とある。春秋が穆公を賢者としているのは、彼が自分を改めることができたからである。
解説
過ちを改めることの価値を、易の言葉を引いて説いた一段です。引かれているのは、正しい道に立ち返るのだから咎めなどあるはずがない、という一句です。人はしばしば、いったん誤った道を進んでしまうと、引き返すのが恥ずかしくて意地を張ります。しかし易は、立ち返ることそのものに咎はないと言い切ります。そして荀子は、春秋がこの穆公を賢者として評価したのは、まさに彼が自分を変えることができたからだと述べます。賢さとは、はじめから間違えないことではなく、間違えたと気づいたときに向きを変えられることなのです。仕事でも同じでしょう。方針の誤りを認めて撤回するのは勇気が要りますが、それを先延ばしにするほど損失は膨らみます。引き返す決断こそ、評価に値する能力です。