荀子 / 大略篇
和鸞之聲,步中武象,趨中韶護。君子聽律習容而後出。
新字:和鸞之声,歩中武象,趨中韶護。君子聴律習容而後出。
書き下し
和鸞の声、歩は武象に中り、趨は韶護に中る。君子は律を聴き容を習ひて而る後に出づ。
現代語訳
車につけた和の鈴と鸞の鈴の鳴る音は、車をゆっくり歩ませるときには武や象の楽の調子に合い、速く走らせるときには韶や護の楽の調子に合う。君子は音律に耳を傾け、立ち居振る舞いを整えてから外へ出るのである。
解説
車の鈴の音が、そのまま音楽の調子に合っているという情景を描いた一段です。和と鸞は、それぞれ車の別の場所に取りつけられた鈴のことで、車が進めばおのずと鳴ります。その鳴り方が、ゆっくり進むときも速く走るときも、古の名曲の拍に合致している。つまり、君子の動き方そのものが音楽的な秩序を帯びているというのです。だからこそ君子は、家を出る前に音律を聴き、身のこなしを整えます。外に出るということは、他人の目の前に自分の秩序をさらすことだからです。私たちにも準備の時間は必要です。会議室に入る前、人と会う前に、呼吸を整え、姿勢と言葉づかいを点検する。ほんの数十秒の準備が、その日の振る舞い全体の調子を決めていきます。