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荀子 / 大略篇

禮者,人之所履也,失所履,必顛蹶陷溺。所失微而其為亂大者,禮也。

新字:礼者,人之所履也,失所履,必顛蹶陥溺。所失微而其為乱大者,礼也。

書き下し

礼とは、人の履む所なり。履む所を失へば、必ず顛蹶し陥溺す。失ふ所は微にして其の乱を為すこと大なる者は、礼なり。

現代語訳

礼とは、人が踏んで歩む足場である。その足場を踏み外せば、必ずつまずき倒れ、あるいは落ちて溺れる。失うものはごくわずかであるのに、それが引き起こす乱れはきわめて大きい。それが礼というものである。

解説

礼を、人が足を置く地面にたとえた一段です。歩いているときは足元を意識しませんが、一歩踏み外せばたちまち転び、あるいは水に落ちて溺れる。礼もそれと同じで、守れているうちはその存在に気づきにくく、崩れたときにはじめてその重さがわかるというのです。とりわけ印象的なのが後半で、失うものはほんのわずかなのに、そこから生じる乱れは途方もなく大きい、と述べられています。挨拶ひとつ、言い方ひとつ、順序ひとつ。取るに足らないように見える形の乱れが、信頼の崩壊や組織の混乱にまで連鎖していく。私たちの職場や家庭でも同じです。小さな礼を省く癖がついたときこそ危ない。足場は、崩れてから直すより、崩さないほうがずっと安上がりなのです。

この一句を、あなたの毎日に。

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