荀子 / 大略篇
寢不踰廟,讌衣不踰祭服,禮也。
新字:寝不踰廟,讌衣不踰祭服,礼也。
書き下し
寝は廟を踰えず、讌衣は祭服を踰えず、礼なり。
現代語訳
住まいの建物は祖先の廟より立派なものにしてはならず、くつろぎ着は祭服より立派なものにしてはならない。これが礼である。
解説
私生活のための物が、公や祖先に捧げる物を上回ってはならない、という一段です。自分の寝所を先祖の廟より豪華に建てない。ふだんのくつろぎ着を、祭祀のときの正装より上等にしない。どちらも、何を上位に置いて暮らしているかを形で示す規律です。荀子にとって礼とは心の中の敬意にとどまらず、身の回りの物のありようとして現れるものでした。自分の快適さを最優先にした住まいや衣服は、そのまま価値の逆転を告げてしまうのです。現代に置き換えれば、自分の趣味には惜しみなく金をかけるのに、仕事の道具や人への贈り物は間に合わせで済ませていないか、という問いになるでしょう。何にどれだけ資源を割いているかは、口で語る以上に雄弁に、その人の優先順位を語ります。