荀子 / 大略篇
禮者、政之輓也;為政不以禮,政不行矣。
新字:礼者、政之輓也;為政不以礼,政不行矣。
書き下し
礼なる者は、政の輓なり。政を為すに礼を以てせざれば、政 行われず。
現代語訳
礼とは、政治という車を引く綱である。政治を行うのに礼によらなければ、政治は動いていかない。
解説
礼と政治の関係を、車を引く綱にたとえた短い一段です。輓とは車を引くための綱のこと。政治という車は、それ自体では前に進まず、礼という綱に引かれてはじめて動く、というのが荀子の見立てです。命令や制度をどれだけ整えても、人がそれに従おうと思わなければ政治は動きません。人が自ら従う気持ちになるのは、そこに筋が通り、敬意があり、扱いが公正だと感じられるからです。その筋道こそが礼であり、だから礼のない政治は空回りする、と言うわけです。組織運営でも同じことが言えます。仕組みや目標を掲げるだけでは人は動かず、決め方が納得できるか、扱いが丁寧かという部分が実際の推進力になります。制度は車体、礼は綱。どちらが欠けても前には進まないと考えると、日々の細かな配慮の意味が違って見えてきます。
この章句が説くこと
礼は政の輓なり礼なくば政行われず制度と推進力納得と敬意礼信頼関係
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『五常訓』巻之四・礼一威儀をつつしみ、衣冠を正しくし、視ること、聴くこと、言ふこと、動くことの四事につきて、各過不及なく、よき程の法あり。又親につかへ、君につかふるに、各さだまれる法あり。兄弟、夫婦に対し、賓客にまじはり、臣下に対し、民をつかひ、先祖鬼神をまつるも法あり。是礼は、皆天理のよき程なる節文にして、人事の定まれる作法なり。仁義皆理なりといへども、とりわき礼を理といへるに子細あり。理とは行ふべきすぢめなり。万事を行ふに、皆定まりたる作法あり。是人の行ふべきすぢめなり。是即礼なり。ここを以て聖人の説き給へる礼の字は、理の字にあたれり。然れども理といはずして礼といへるに、子細あり。理といへば形と事にあらはれたる迹なくして、虚なり。
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『五常訓』巻之四・礼一朱子曰、礼は即理の節文なり。いふ意は、万の行、道理にかなひて、過不及なく、程よきを云ふ。飲食の一事をいはば、うゑかわく時に飲み食ふは理なり。されども、飲み食ふべき理なりとて、みだりに多く飲み食へば、放逸にして、みだりがはしく、又必病を生ず。飲み食ふべき理にあたりて、過不及なく、よき程なるが、理の節文なり。万の事、是を以て知るべし。
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『弁名』禮礼は道の名なり。先王の制作する所の四教・六芸、是れ其の一に居る。所謂経礼三百、威儀三千、是れ其の物なり。六芸は、書・数は庶人の官に在る者、府・史・胥・徒の専ら務むる所と為す。御も亦た士の職とする所なり。射は諸侯に通ずと雖も、其の所謂射は、礼楽を以て之を行ふ、民の射の皮を主とする者の比に非ず。唯だ礼楽のみ乃ち芸の大なる者にして、君子の務むる所なり。而して楽は伶官に掌られ、君子以て徳を養ふのみ。礼に至りては則ち君子此を以て顕業と為す。是を以て孔子少くして礼を知るを以て称せられ、周に之きて礼を老聃に問ひ、杞に之き宋に之き、唯だ礼を之れ求む。子夏の記す所、曾子の問ふ所、七十子皆礼に断断たり。檀弓の諸篇に見ゆ。三代の君子の礼を務むる、以て見るべきのみ。
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