師導古典を学びたいすべての人に

荀子 / 大略篇

水行者表深,使人無陷;治民者表亂,使人無失,禮者,其表也。先王以禮義表天下之亂;今廢禮者,是棄表也,故民迷惑而陷禍患,此刑罰之所以繁也。

新字:水行者表深,使人無陥;治民者表乱,使人無失,礼者,其表也。先王以礼義表天下之乱;今廃礼者,是棄表也,故民迷惑而陥禍患,此刑罰之所以繁也。

書き下し

水を行く者は深きに表し、人をして陥ること無からしむ。民を治むる者は乱に表し、人をして失うこと無からしむ。礼なる者は、其の表なり。先王は礼義を以て天下の乱を表せり。今 礼を廃する者は、是れ表を棄つるなり。故に民は迷惑して禍患に陥る、此れ刑罰の繁き所以なり。

現代語訳

川を渡らせる者は深みに目印を立て、人が落ち込まないようにする。民を治める者は乱れの生じるところに目印を立て、人が道を踏み外さないようにする。礼こそがその目印である。いにしえの王は礼義によって天下の乱れどころに目印を立てた。今、礼を廃する者は、その目印を捨てているのだ。だから民は迷って災いに落ち込む。これが刑罰ばかりが多くなる理由である。

解説

礼とは何かを、川の深みに立てる目印になぞらえた印象深い一段です。川を渡らせる者は、深くて危ないところに標を立てて人が溺れないようにする。同じように、民を治める者は乱れの起きやすいところに標を立て、人が踏み外さないようにする。その標こそが礼だ、と荀子は言います。だから礼を廃止するというのは、危険地帯の標識を引き抜くのと同じことで、人々は迷い、災いに落ち込み、結果として刑罰ばかりが増えていく。罰を重くする前に、まず標を立てよ、という順序の主張がここにあります。組織でも同じで、事故や不正が起きてから処分を厳しくするのは後手です。どこが危ないのかをあらかじめ示し、迷わず歩ける道筋を作っておくこと。予防としてのルールと、罰としてのルールは役割が違うのだと気づかされます。

この一句を、あなたの毎日に。

古典の教えを、今の状況に当てはめて考えてみる——師導があなたの学びと選択を支えます。

師導で古典を学ぶ