荀子 / 大略篇
諸侯相見,卿為介,以其教士畢行,使仁居守。
書き下し
諸侯 相い見ゆるとき、卿を介と為し、其の教士を以て畢く行き、仁者をして居りて守らしむ。
現代語訳
諸侯どうしが会見するときは、卿を介添え役とし、日ごろ教え鍛えてきた士たちをすべて引き連れて出向き、仁徳のある者を国に残して留守を守らせる。
解説
諸侯が他国の君主と会見に出かけるときの備えを述べた一段です。介添え役には重臣である卿を立て、日ごろ教育してきた士たちをみな連れて行く。そして国には仁徳のある者を残して留守を守らせる、と言います。外に出るときこそ内をどうするかが問われる、という視点がここにはあります。晴れの場に人材を惜しみなく投入しつつ、留守を任せるのは能力や口先ではなく、仁のある人物だと定めている点が印象的です。留守番役こそ、私欲に走らず、主が不在でも同じ判断ができる人でなければならないからです。私たちの仕事でも、責任者が出張や休暇で不在にするとき、誰に何を託すかで組織の地力が見えます。人を連れて行く判断と、残す判断。その両方に礼と人物眼が要ることを教えてくれます。