荀子 / 大略篇
天子外屏,諸侯內屏,禮也。外屏、不欲見外也;內屏、不欲見內也。
新字:天子外屏,諸侯內屏,礼也。外屏、不欲見外也;內屏、不欲見內也。
書き下し
天子は屏を外にし、諸侯は屏を内にす、礼なり。外屏は、外を見んと欲せざるなり。内屏は、内を見られんと欲せざるなり。
現代語訳
天子は門の外に目隠しの塀を立て、諸侯は門の内に立てる。これが礼である。外に立てるのは、外のことをむやみに見ようとしないためである。内に立てるのは、内のことをむやみに見られないためである。
解説
屏とは門のところに立てる目隠しの塀のことで、天子はそれを門の外に、諸侯は門の内に立てるのが礼だ、という一段です。外に立てるのは、外の様子をのぞき見ようとしない姿勢を形にしたもの、内に立てるのは、内の様子をのぞかれないようにするためだと説明されます。ただの建物の話に見えますが、荀子はここで、立場が違えば守るべき境界の引き方も違うということを言っています。上に立つ者ほど、細かなことまで見透かそうとしない節度が求められ、その節度が形として建物にまで及ぶわけです。現代でも、上司が部下の一挙一動を監視しないこと、家庭や職場で互いに踏み込みすぎない領域を残しておくことは、関係を長持ちさせる知恵です。見ない、見せないという線引きを意識的に設けることが、信頼の余白を生みます。