荀子 / 楽論篇
亂世之徵:其服組,其容婦。其俗淫,其志利,其行雜,其聲樂險,其文章匿而采,其養生無度,其送死瘠墨,賤禮義而貴勇力,貧則為盜,富則為賊;治世反是也。
新字:乱世之徴:其服組,其容婦。其俗淫,其志利,其行雑,其声楽険,其文章匿而采,其養生無度,其送死瘠墨,賤礼義而貴勇力,貧則為盗,富則為賊;治世反是也。
書き下し
亂世の徵(ちょう)。其の服は組(そ)、其の容は婦(ふ)なり。其の俗は淫(いん)、其の志は利、其の行いは雜(ざつ)、其の聲樂は險(けん)、其の文章は匿(かく)れて采(あや)あり。其の生を養うこと度(ど)無く、其の死を送ること瘠墨(せきぼく)なり。禮義を賤しみて勇力(ゆうりょく)を貴び、貧しければ則ち盜を為し、富めば則ち賊を為す。治世は是に反するなり。
現代語訳
乱れた世のしるし。人々の衣服は華美に飾り立てられ、その容姿は女性のようになよなよしている。風俗は淫らで、志は利益に向かい、行いは筋が通らず雑然としており、その音楽は危うく淫らで、文様は本質を隠して表面ばかり彩り豊かである。生きている者を養うのに節度がなく、死者を送る葬礼は簡素にけちけちしている。礼義を軽んじて腕力や勇み肌を尊び、貧しければ盗みを働き、富めば人を害する。治まった世はこれと正反対である。
解説
楽論篇の締めくくりは、乱世の兆候を短く列挙した一節です。衣服は飾り立てられ、姿はなよなよし、風俗は淫らで、志は利益一辺倒。行いには筋がなく、音楽は危うく、装飾は中身を隠して表面ばかりが華やかになる。生者を養うのに節度がなく、死者の葬礼はけちけちと簡素になる。礼義は軽んじられ、腕力ばかりが尊ばれ、貧しければ盗み、富めば人を害する。荀子はこれらを、時代が崩れていくときに必ず表面に現れるサインとして並べます。注目したいのは、その多くが「文化の乱れ」だという点です。政治の崩壊はまず服装や音楽や飾り方に現れる——だからこそ楽論篇の結びに置かれています。組織でも同じことが言えます。数字が悪くなる前に、まず言葉遣いや空気や振る舞いが荒れます。中身より見た目が優先され、筋より力が通るようになったら、危険信号です。表面の変化は、最も早い診断材料なのです。
この章句が説くこと
乱世の徴礼義を賤しみ勇力を貴ぶ文化の乱れ早期のサイン
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