荀子 / 礼論篇
故有天下者事七世,有一國者事五世,有五乘之地者事三世,有三乘之地者事二世,持手而食者不得立宗廟,所以別積厚,積厚者流澤廣,積薄者流澤狹也。
新字:故有天下者事七世,有一国者事五世,有五乗之地者事三世,有三乗之地者事二世,持手而食者不得立宗廟,所以別積厚,積厚者流沢広,積薄者流沢狭也。
書き下し
故に天下を有つ者は七世に事え、一国を有つ者は五世に事え、五乗の地を有つ者は三世に事え、三乗の地を有つ者は二世に事え、手を持して食らう者は宗廟を立つるを得ざるは、積の厚薄を別つ所以なり。積の厚き者は流沢広く、積の薄き者は流沢狭ければなり。
現代語訳
だから天下を保つ天子は七代の先祖を祭り、一国を保つ諸侯は五代を祭り、五乗の領地を持つ者は三代を祭り、三乗の領地を持つ者は二代を祭り、自分の手で働いて食べる庶人は宗廟を建てることができない。これは、積み重ねの厚い薄いを区別するためである。積み重ねが厚い者は、その恵みの流れが広く行きわたり、積み重ねが薄い者は、恵みの及ぶ範囲がせまいからである。
解説
祭る先祖の代数が身分によって七代、五代、三代、二代と段階的に減り、庶人は宗廟を持たない。一見すると差別的な制度の説明ですが、荀子が理由として挙げるのは血筋の尊さではなく、積の厚薄、つまり功績と恩沢の積み重ねの厚さです。積み重ねが厚い家は、その恵みが広い範囲に行きわたる。だから祭る先祖の代も遠くまでさかのぼる。逆に積み重ねが薄ければ、恵みの及ぶ範囲もせまく、祭りの範囲もそれに応じる。制度の差は、果たしてきた責任の大きさの反映だ、という論理です。ここから引き出せるのは、影響力とは一代で手に入るものではなく、長く積み重ねた分だけ遠くへ届くという見方でしょう。仕事でも、信用は年月の積み重ねに比例して広がります。すぐに結果を求めず、積を厚くしていく姿勢が問われます。
この章句が説くこと
積厚流沢宗廟の制責任の大きさ積み重ねの力
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