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荀子 / 正論篇

彼王者之制也,視形埶而制械用,稱遠邇而等貢獻,豈必齊哉!故魯人以榶,衛人用柯,齊人用一革,土地刑制不同者,械用、備飾不可不異也。故諸夏之國同服同儀,蠻、夷、戎、狄之國同服不同制。封內甸服,封外侯服,侯衛賓服,蠻夷要服,戎狄荒服。甸服者祭,侯服者祀,賓服者享,要服者貢,荒服者終王。日祭、月祀、時享、歲貢、終王,夫是之謂視形埶而制械用,稱遠近而等貢獻;是王者之制也。

新字:彼王者之制也,視形埶而制械用,稱遠邇而等貢献,豈必斉哉!故魯人以榶,衛人用柯,斉人用一革,土地刑制不同者,械用、備飾不可不異也。故諸夏之国同服同儀,蠻、夷、戎、狄之国同服不同制。封內甸服,封外侯服,侯衛賓服,蠻夷要服,戎狄荒服。甸服者祭,侯服者祀,賓服者享,要服者貢,荒服者終王。日祭、月祀、時享、歲貢、終王,夫是之謂視形埶而制械用,稱遠近而等貢献;是王者之制也。

書き下し

彼の王者の制なるや、形埶を視て械用を制し、遠邇を称りて貢献を等しくす。豈に必ずしも斉しからんや。故に魯人は榶を以てし、衛人は柯を用い、斉人は一革を用う。土地の刑制同じからざれば、械用・備飾も異ならざる可からざるなり。故に諸夏の国は服を同じくし儀を同じくし、蛮・夷・戎・狄の国は服を同じくして制を同じくせず。封内は甸服、封外は侯服、侯衛は賓服、蛮夷は要服、戎狄は荒服なり。甸服なる者は祭り、侯服なる者は祀り、賓服なる者は享し、要服なる者は貢し、荒服なる者は王を終う。日祭・月祀・時享・歳貢・終王、夫れ是れを之れ形埶を視て械用を制し、遠近を称りて貢献を等しくすと謂う。是れ王者の制なり。

現代語訳

かの王者の制度というものは、土地の形勢を見て道具や用具を定め、遠近を測って貢ぎ物の等級を決める。どうして何もかも同じにする必要があろうか。だから魯の人は榶という器を使い、衛の人は柯を使い、斉の人は一革を使う。土地の形や造りが違えば、道具や備品も違わざるを得ないのだ。だから中国の諸国は同じ衣服を着て同じ儀礼を行うが、蛮・夷・戎・狄の国々は衣服こそ同じでも制度までは同じにしない。都の内側は甸服、その外は侯服、さらに外は賓服、蛮夷の地は要服、戎狄の地は荒服と呼ぶ。甸服の者は日ごとの祭り、侯服の者は月ごとの祀り、賓服の者は季節ごとの供え、要服の者は年ごとの貢ぎ物、荒服の者は代替わりごとに王に朝見する。日祭・月祀・時享・歳貢・終王、これこそが土地の形勢を見て道具を定め、遠近を測って貢ぎ物の等級を決めるということである。これが王者の制度なのだ。

解説

荀子は、王者の制度とは画一化ではないと説きます。土地の条件を見て使う道具を定め、都からの距離を測って義務の重さを段階づける。近い地域には日ごと月ごとの細かい務めを、遠い地域には年に一度、あるいは代替わりに一度の務めだけを課す。甸服から荒服まで五段階に分ける五服の考え方は、距離に応じて負担を変える設計思想を表しています。すべてを同じ基準に揃えようとせず、条件の違いを制度の中にあらかじめ組み込んでおくのです。これは統治だけの話ではありません。全国に散らばる拠点、経験の差がある部下、事情の異なる顧客。同じルールを一律に押し付ければ、どこかが必ず壊れます。相手の距離と条件に応じて求めるものを変えることは、手抜きではなく、むしろ制度設計の要なのです。

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