荀子 / 王制篇
王者之法:等賦、政事、財萬物,所以養萬民也。田野什一,關市幾而不征,山林澤梁,以時禁發而不稅。相地而衰政。理道之遠近而致貢。通流財物粟米,無有滯留,使相歸移也,四海之內若一家。故近者不隱其能,遠者不疾其勞,無幽閒隱僻之國,莫不趨使而安樂之。夫是之為人師。是王者之法也。
新字:王者之法:等賦、政事、財万物,所以養万民也。田野什一,関市幾而不征,山林沢梁,以時禁発而不税。相地而衰政。理道之遠近而致貢。通流財物粟米,無有滞留,使相帰移也,四海之内若一家。故近者不隠其能,遠者不疾其労,無幽閒隠僻之国,莫不趨使而安楽之。夫是之為人師。是王者之法也。
書き下し
王者の法は、賦を等しくし、政事を為し、万物を財し、以て万民を養う所以なり。田野は什に一、関市は幾して征せず、山林沢梁は、時を以て禁発して税せず。地を相て政を衰す。道の遠近を理りて貢を致す。財物粟米を通流し、滞留有ること無く、相い帰移せしめ、四海の内一家の若し。故に近き者は其の能を隠さず、遠き者は其の労を疾まず、幽閒隠僻の国無く、趨り使われて之を安楽せざる莫し。夫れ是れを人の師と為す。是れ王者の法なり。
現代語訳
王者の法とはこうである。税を等級に応じて課し、政務を整え、あらゆる物資を管理して、万民を養うためのものである。田畑は収穫の十分の一を税とし、関所や市場は検査するだけで税は取らない。山林や沢や梁は、季節に応じて禁じたり開放したりするが、税は取らない。土地の善し悪しを見て税を加減する。道の遠近を計算して、それに応じた貢納を定める。財貨も穀物も自由に流通させ、どこかに滞ることのないようにし、必要な所へ移っていくようにする。すると天下は一つの家のようになる。だから近い者は自分の能力を隠さず、遠い者は自分の労苦を恨まない。どんなに奥深く辺鄙な国であっても、進んで使われることを喜び楽しまない者はいない。こういう者こそ人々の師である。これが王者の法である。
解説
この章句が説くこと
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荀子・富国篇禮なる者は、貴賤に等有り、長幼に差有り、貧富輕重皆な稱う者なり。故に天子は袾裷衣冕、諸侯は玄裷衣冕、大夫は裨冕、士は皮弁服す。徳は必ず位に稱い、位は必ず祿に稱い、祿は必ず用に稱う。士より以上は則ち必ず禮樂を以て之を節し、衆庶百姓は則ち必ず法數を以て之を制す。地を量りて國を立て、利を計りて民を畜い、人力を度りて事を授け、民をして必ず事に勝えしめ、事は必ず利を出し、利は以て民を生かすに足り、皆な衣食百用をして出入相い揜わしめ、必ず時に餘りを臧む、之を稱數と謂う。故に天子より庶人に通ずるまで、事に大小多少と無く、是に由りて之を推す。故に曰く、朝に幸位無く、民に幸生無し、と。此れの謂いなり。田野の賦を輕くし、關市の征を平らかにし、商賈の數を省き、力役を興すこと罕にし、農時を奪うこと無くんば、是の如くんば則ち國富まん。夫れ是れを之れ政を以て民を裕かにすと謂う。
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荀子・王制篇聖主の制なり。草木栄華滋碩の時は、則ち斧斤山林に入らず、其の生を夭せず、其の長を絶たざるなり。黿鼉魚鱉鰍鱣の孕別の時は、罔罟毒薬沢に入らず、其の生を夭せず、其の長を絶たざるなり。春耕、夏耘、秋収、冬蔵、四つの者時を失わず、故に五穀絶えずして、百姓余食有り。汙池淵沼川沢は、謹んで其の時に禁ずれば、故に魚鱉優れて多くして、百姓余用有り。斬伐養長其の時を失わず、故に山林童ならずして、百姓余材有り。
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荀子・王制篇成侯、嗣公は聚斂計数の君なり、未だ民を取るに及ばざるなり。子産は民を取る者なり、未だ政を為すに及ばざるなり。管仲は政を為す者なり、未だ礼を修むるに及ばざるなり。故に礼を修むる者は王たり、政を為す者は彊く、民を取る者は安く、聚斂する者は亡ぶ。故に王者は民を富ませ、覇者は士を富ませ、僅かに存する国は大夫を富ませ、亡国は筐篋を富ませ、府庫を実たす。筐篋已に富み、府庫已に実ちて、百姓貧し。夫れ是れを之れ上溢れて下漏ると謂う。入りては以て守るべからず、出でては以て戦うべからざれば、則ち傾覆滅亡は立ちどころに待つべきなり。故に我之を聚めて以て亡び、敵之を得て以て彊し。聚斂は、寇を召き、敵を肥やし、国を亡ぼし、身を危うくするの道なり。故に明君は蹈まざるなり。
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荀子・正論篇彼の王者の制なるや、形埶を視て械用を制し、遠邇を称りて貢献を等しくす。豈に必ずしも斉しからんや。故に魯人は榶を以てし、衛人は柯を用い、斉人は一革を用う。土地の刑制同じからざれば、械用・備飾も異ならざる可からざるなり。故に諸夏の国は服を同じくし儀を同じくし、蛮・夷・戎・狄の国は服を同じくして制を同じくせず。封内は甸服、封外は侯服、侯衛は賓服、蛮夷は要服、戎狄は荒服なり。甸服なる者は祭り、侯服なる者は祀り、賓服なる者は享し、要服なる者は貢し、荒服なる者は王を終う。日祭・月祀・時享・歳貢・終王、夫れ是れを之れ形埶を視て械用を制し、遠近を称りて貢献を等しくすと謂う。是れ王者の制なり。
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荀子・王制篇請う問う、政を為すには。曰く、賢能は次を待たずして挙げ、罷不能は須を待たずして廃し、元悪は教を待たずして誅し、中庸雑民は政を待たずして化す。分未だ定まらざれば、則ち昭穆有るなり。王公士大夫の子孫と雖も、礼義に属する能わざれば、則ち之を庶人に帰す。庶人の子孫と雖も、文学を積み、身行を正し、能く礼義に属すれば、則ち之を卿相士大夫に帰す。故に姦言、姦説、姦事、姦能、遁逃反側の民は、職として之を教え、須ちて之を待ち、之を勉むるに慶賞を以てし、之を懲らすに刑罰を以てす。職に安んずれば則ち畜い、職に安んぜざれば則ち棄つ。五疾は、上収めて之を養い、材として之を事とし、官施して之を衣食せしめ、兼ね覆いて遺すこと無し。才行時に反く者は死して赦す無し。夫れ是れを之れ天徳と謂う、是れ王者の政なり。
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荀子・王覇篇国として治法有らざるは無く、国として乱法有らざるは無し。国として賢士有らざるは無く、国として罷士有らざるは無し。国として愿民有らざるは無く、国として悍民有らざるは無し。国として美俗有らざるは無く、国として悪俗有らざるは無し。両者並び行われて国在り。上に偏すれば国安く、下に偏すれば国危うし。上に一なれば王たり、下に一なれば亡ぶ。故に其の法治まり、其の佐賢に、其の民愿に、其の俗美にして、四者斉しき、夫れ是れを之れ上に一なりと謂う。是くの如くんば則ち戦わずして勝ち、攻めずして得、甲兵労せずして天下服す。故に湯は亳を以てし、文王は鄗を以てし、皆な百里の地なるも、天下を一と為し、諸侯を臣と為し、通達の属、従服せざるは莫し。它の故無し、四者斉しければなり。桀・紂は即ち天下の埶を有つに厚きも、匹夫たらんことを索めて得べからざるなり。是れ它の故無し、四者並びに亡べばなり。故に百王の法は同じからざるも、是くの若く帰する所は一なり。
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