荀子 / 王制篇
王者之制:道不過三代,法不二後王;道過三代謂之蕩,法二後王謂之不雅。衣服有制,宮室有度,人徒有數,喪祭械用皆有等宜。聲、則非雅聲者舉廢,色、則凡非舊文者舉息,械用,則凡非舊器者舉毀,夫是之謂復古,是王者之制也。
新字:王者之制:道不過三代,法不二後王;道過三代謂之蕩,法二後王謂之不雅。衣服有制,宮室有度,人徒有数,喪祭械用皆有等宜。声、則非雅声者舉廃,色、則凡非旧文者舉息,械用,則凡非旧器者舉毀,夫是之謂復古,是王者之制也。
書き下し
王者の制は、道は三代を過ぎず、法は後王に二ならず。道三代を過ぐる、之を蕩と謂い、法後王に二なる、之を不雅と謂う。衣服に制有り、宮室に度有り、人徒に数有り、喪祭械用皆な等宜有り。声は、則ち雅声に非ざる者は挙げて廃し、色は、則ち凡そ旧文に非ざる者は挙げて息め、械用は、則ち凡そ旧器に非ざる者は挙げて毀つ。夫れ是れを之れ復古と謂う。是れ王者の制なり。
現代語訳
王者の制度はこうである。道は夏・殷・周の三代よりさかのぼらず、法は後の王のものと食い違わせない。道が三代をさかのぼるのを、とりとめがないという。法が後王と食い違うのを、正統でないという。衣服には規定があり、宮室には寸法があり、召し使う人数には定めがあり、喪礼や祭礼の器具にもすべてふさわしい等級がある。音楽については、正統な雅の音でないものはすべて廃止し、色については、古来の様式でないものはすべてやめさせ、器具については、古来の器でないものはすべて壊す。これを「古に復る」という。これが王者の制度である。
解説
制度をどこに基準を置いて設計するかを述べた段です。荀子は、はるか遠い伝説の時代までさかのぼるのを「とりとめがない」と退け、基準を三代、とりわけ身近な後王に置きます。ここに荀子の現実主義がよく表れています。理想を語るとき人は遠い昔を持ち出しがちですが、検証できない過去はいくらでも都合よく語れてしまう。だから記録が残り、実際に機能した制度を基準にせよというのです。衣服、住居、人員、祭器に至るまで細かく規定を定め、正統でない音楽や様式は排するという厳しさは、現代の感覚では窮屈にも映ります。しかしその狙いは、判断の基準がぶれないことにあります。組織のルールも同じで、根拠が曖昧なまま増えていけば、誰も従わなくなる。何を標準とし、何を標準から外すのかを明示すること自体が、秩序を支える力になります。
この章句が説くこと
王者の制度後王を基準に復古標準の明示制度設計
関連する章句
-
論語・衛霊公篇顔淵、邦を為むるを問う。子曰く、「夏の時を行い、殷の輅に乗り、周の冕を服し、楽は則ち韶舞。鄭声を放ち、佞人を遠ざく。鄭声は淫にして、佞人は殆し。」
-
三略・中略故に聖王の世を御するや、盛衰を観、得失を度りて、之が制を為す。故に諸侯は二師、方伯は三師、天子は六師なり。世乱るれば則ち叛逆生じ、王沢竭くれば則ち盟誓相ひ誅伐す。
-
説苑・政理景差、鄭に相たり。鄭人に冬水を渉る者有り、出でて脛寒し。後に景差之を過り、陪乗を下して之を載せ、覆うに上衽を以てす。晋の叔向之を聞きて曰く、「景子人国の相為るや、豈に固ならずや。吾聞く、良吏之に居りて三月にして溝渠修まり、十月にして津梁成る、六畜すら且つ足を濡らさず、而るを況んや人をや。」
-
説苑・貴德桓公平陵に之き、家人の年老いて自ら養ふ有るを見る、公其の故を問ふ、対へて曰く、「吾に子九人有るも、家貧しくして以て之に妻あはすること無く、吾傭せしめて未だ返らざるなり」と。桓公外御の者五人を取りて之に妻あはす、管仲入りて見えて曰く、「公の恵を施すこと亦た小なるかな」と。公曰く、「何ぞや」と。対へて曰く、「公見る所を待ちて恵を施せば、則ち斉国の妻有る者少なからん」と。公曰く、「若何せん」と。管仲曰く、「国の丈夫をして三十にして室せしめ、女子をして十五にして嫁せしめよ」と。
-
『呻吟語』内篇・應務・禮の用は和を貴しと為す禮法を制して以て萬世に垂れ天下を繩する者は、須らく是れ時中の聖人天理人情の至を斟酌して之を為すべし。一に以て極を立て、一毫の矯拂心無く、一毫の懲創心無く、一毫の一切心無し。嚴なれども人情に苦しからず、寬なれども天則に亂れず。天下をして肯へて從ひ萬世相安んぜしむ。故に曰く、「禮の用は和を貴しと為す」と。和の一字は、禮法を制する時合下便ち有り。豈に美と為さずや。是を以て繁密なる者は人の躁心を激し、嚴峻なる者は人の畔心を激す。甚だしき者は、乃ち之を驅るなり。
-
尉繚子・制談凡そ兵制は必ず先ず制を定む、先ず定まれば則ち士亂れず、士亂れざれば則ち刑乃ち明らかなり。
人生の答えは、ぜんぶ古典に書いてあった。
古典の入門書『人生の教科書』(PDF)と、師導の全機能1か月がセットで700円。二十四の悩みに、論語・老子・孫子から徒然草・五輪書までが答えます。
本の中身を見る