荀子 / 非十二子篇
士君子之容:其冠進,其衣逢,其容良;儼然,壯然,祺然,蕼然,恢恢然,廣廣然,昭昭然,蕩蕩然。是父兄之容也。其冠進,其衣逢,其容愨;儉然,恀然,輔然,端然,訾然,洞然,綴綴然,瞀瞀然。是子弟之容也。
新字:士君子之容:其冠進,其衣逢,其容良;儼然,壮然,祺然,蕼然,恢恢然,広広然,昭昭然,蕩蕩然。是父兄之容也。其冠進,其衣逢,其容愨;倹然,恀然,輔然,端然,訾然,洞然,綴綴然,瞀瞀然。是子弟之容也。
書き下し
士君子の容(かたち)。其の冠は進み、其の衣は逢(ゆた)かに、其の容は良し。儼然(げんぜん)たり、壯然たり、祺然(きぜん)たり、蕼然(したり)たり、恢恢然(かいかいぜん)たり、廣廣然たり、昭昭然たり、蕩蕩然たり。是れ父兄の容なり。其の冠は進み、其の衣は逢かに、其の容は愨(かく)なり。儉然たり、恀然(じぜん)たり、輔然(ほぜん)たり、端然たり、訾然(しぜん)たり、洞然たり、綴綴然(ていていぜん)たり、瞀瞀然(ぼうぼうぜん)たり。是れ子弟の容なり。
現代語訳
士君子の姿かたちについて述べる。冠はまっすぐ前に整い、衣はゆったりとし、その物腰は善良である。おごそかで、堂々としており、穏やかで安らかで、のびやかで、ゆとりがあり、広々としており、明るく分かりやすく、大らかである。これが父兄としての、上に立つ者のたたずまいである。冠はまっすぐ前に整い、衣はゆったりとし、その物腰は誠実である。控えめで、頼りとするところがあり、人を助けようとし、きちんとしていて、慎み深く、心は素直に通っており、そばに寄り添い、うつむいて出過ぎない。これが子弟としての、下に連なる者のたたずまいである。
解説
荀子は、内面の徳は必ず外に現れると考えました。だからこの段では、士君子の身なりとたたずまいを具体的に描いています。冠はまっすぐ、衣はゆったり、物腰は善良に。父兄として上に立つ者は、おごそかでありながら大らかで、広々として明るいたたずまいを持ちます。一方、子弟として下に連なる者は、控えめで慎み深く、人を支え、出過ぎないたたずまいを持ちます。どちらもその立場にふさわしい形がある、というのが荀子の礼の思想です。形など見せかけだ、と思われるかもしれません。しかし荀子にとって形は内面を育てる装置でもありました。姿勢を正せば心が引き締まり、ゆとりある物腰でいれば人が近づきやすくなります。服装、姿勢、口調、目線。自分は今どの立場にいて、その立場にふさわしいたたずまいでいるか。人前に出る前に一度、確かめてみるとよいでしょう。