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貞観政要 / 慎終

「傲不可長,欲不可縱,樂不可極,志不可滿。」四者,前王所以致福,通賢以為深誡。陛下貞觀之初,孜孜不怠,屈己從人,恒若不足。頃年以來,微有矜放,恃功業之大,意蔑前王,負聖智之明,心輕當代,此傲之長也。欲有所為,皆取遂意,縱或抑情從諫,終是不能忘懷,此欲之縱也。志在嬉遊,情無厭倦,雖未全妨政事,不復專心治道,此樂將極也。率土乂安,四夷款服,仍遠勞士馬,問罪遐裔,此志將滿也。親狎者阿旨而不肯言,疏遠者畏威而莫敢諫,積而不已,將虧聖德。此其漸不克終九也。

新字:「傲不可長,欲不可縦,楽不可極,志不可満。」四者,前王所以致福,通賢以為深誡。陛下貞観之初,孜孜不怠,屈己従人,恒若不足。頃年以来,微有矜放,恃功業之大,意蔑前王,負聖智之明,心輕当代,此傲之長也。欲有所為,皆取遂意,縦或抑情従諫,終是不能忘懐,此欲之縦也。志在嬉遊,情無厭倦,雖未全妨政事,不復専心治道,此楽将極也。率土乂安,四夷款服,仍遠労士馬,問罪遐裔,此志将満也。親狎者阿旨而不肯言,疏遠者畏威而莫敢諫,積而不已,将虧聖徳。此其漸不克終九也。

書き下し

「傲は長ずべからず。欲は縦にすべからず。楽は極むべからず。志は満たすべからず」と。四者は、前王の福を致す所以にして、通賢は以て深き誡と為す。陛下は貞観の初め、孜孜として怠らず、己を屈して人に従い、恒に足らざるが若し。頃年より以来、微しく矜放有り。功業の大なるを恃み、意は前王を蔑(なみ)す。聖智の明を負い、心は当代を軽んず。此れ傲の長ずるなり。為さんと欲する所有らば、皆な意を遂ぐるを取る。縦い或いは情を抑えて諫に従うも、終に是れ懐を忘るる能わず。此れ欲の縦なるなり。志は嬉遊に在り、情に厭倦無し。未だ全くは政事を妨げずと雖も、復た心を治道に専らにせず。此れ楽の将に極まらんとするなり。率土は乂安、四夷は款服す。仍お遠く士馬を労し、罪を遐裔に問う。此れ志の将に満たんとするなり。親狎する者は旨に阿(おもね)りて肯えて言わず。疎遠なる者は威を畏れて敢えて諫むる莫し。積みて已まずんば、将に聖徳を虧かんとす。此れ其の漸く克く終えざるの九なり。

現代語訳

「傲りは伸ばしてはならない。欲はほしいままにしてはならない。楽しみは極めてはならない。志は満たしてはならない」。この四つは、前代の王が福をもたらした理由であり、識者は深い戒めとしています。陛下は貞観の初め、努めて怠らず、自らを屈して人に従い、常に足りないかのようでした。近年以来、少し驕りと緩みがあります。功業の大きさを恃み、心は前代の王を軽んじる。聖なる知の明を頼み、心は当代を軽んじる。これが傲りの伸びるということです。したいことがあれば、みな意を遂げる。たとえ情を抑えて諫めに従っても、結局は思いを忘れられない。これが欲のほしいままということです。志は遊びにあり、情に飽きることがない。まだ完全に政事を妨げてはいませんが、心を治世の道に専らにされていない。これが楽しみが極まろうとするということです。国中が安らぎ、四方の異民族が服している。それでもなお遠く兵馬を労し、遠方に罪を問おうとされる。これが志が満ちようとするということです。親しく馴れた者は意に阿って言おうとせず、疎遠な者は威を畏れて諫めない。積み重なってやまなければ、聖なる徳を欠くことになります。これが、次第に終わりを全うできなくなっている第九です。

解説

「たとえ情を抑えて諫めに従っても、結局は思いを忘れられない」。この観察が鋭い。表向きは受け入れる。しかし諦めていない。だから、いずれ別の形で実現しようとする。従ったふりは、従っていないことより、たちが悪いのです。

この一句を、あなたの毎日に。

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