貞観政要 / 刑法
貞觀二年,太宗謂侍臣曰:「比有奴告主謀逆,此極弊法,特須禁斷。假令有謀反者,必不獨成,終將與人計之;眾計之事,必有他人論之,豈藉奴告也?自今奴告主者,不須受,盡令斬決。」
新字:貞観二年,太宗謂侍臣曰:「比有奴告主謀逆,此極弊法,特須禁断。仮令有謀反者,必不独成,終将与人計之;衆計之事,必有他人論之,豈藉奴告也?自今奴告主者,不須受,尽令斬決。」
書き下し
貞観二年、太宗侍臣に謂いて曰く、「比(このごろ)奴の主の謀逆を告ぐる有り。此れ極めて弊法なり。特に須らく禁断すべし。仮令(たと)い謀反する者有らば、必ず独りにては成らず。終に将に人と之を計るべし。衆と計るの事は、必ず他人の之を論ずる有らん。豈に奴の告ぐるを藉(か)らんや。今より奴の主を告ぐる者は、受くるを須(もち)いず。尽く斬決せしめよ」と。
現代語訳
貞観二年、太宗が側近の臣に言った。「近頃、奴僕が主人の謀反を告発することがある。これは極めて悪い法だ。特に禁じるべきである。たとえ謀反する者があっても、必ず一人では成らない。いずれ人と謀るだろう。多くの者と謀ったことは、必ず他の者が語るはずだ。どうして奴僕の告発に頼るのか。今後、奴僕が主人を告発しても、受理してはならない。すべて斬れ」。
解説
近頃、召し使いが主人の謀反を訴え出る例があると聞き、太宗は「これは大変よくない仕組みだ。すぐにやめさせよ」と命じました。もし本当に謀反を企む者がいたとしても、一人だけで事を起こすことはできず、必ず誰か他の人間と相談するはずです。多くの人が関わっていれば、いずれ別の誰かがそれを語り出すもので、わざわざ召し使いの告げ口に頼る必要はないというのが理由でした。そこで「今後、召し使いが主人を訴え出ても取り合わず、その告発者は処罰する」とまで定めます。厳しい措置に見えますが、この道を開いてしまうと、日頃の恨みや妬みから根も葉もない訴えが後を絶たなくなります。誰の言葉をどこまで信じて取り上げるか、その入り口を決めることも、上に立つ者の大切な仕事なのです。
この章句が説くこと
比有奴告主謀逆此極弊法豈藉奴告也情報源を選ぶ賞罰
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