貞観政要 / 奢縦
太宗曰:「近令造小隨身器物,不意百姓遂有嗟怨,此則朕之過誤。」乃命停之。
新字:太宗曰:「近令造小随身器物,不意百姓遂有嗟怨,此則朕之過誤。」乃命停之。
書き下し
太宗曰く、「近ごろ小さき随身の器物を造らしむ。意わざりき、百姓に遂に嗟怨有らんとは。此れ則ち朕の過誤なり」と。乃ち命じて之を停む。
現代語訳
太宗は言った。「近頃、身の回りの小さな器物を造らせた。まさか民に怨嗟の声があるとは思わなかった。これは私の過ちだ」。そして命じて中止させた。
解説
奢縦篇を締めくくる一段です。「小さな器物」。太宗にとっては、些細なことでした。だからこそ「まさか」と驚きます。上にとっての小事は、下では大事です。そして中止しました。自分の感覚では大したことがない、という判断が、最も危ういのです。