貞観政要 / 誠信
太宗覽疏嘆曰:「若不遇公,何由得聞此語?」
新字:太宗覧疏嘆曰:「若不遇公,何由得聞此語?」
書き下し
太宗疏を覧て嘆じて曰く、「若し公に遇わずんば、何に由りて此の語を聞くを得んや」と。
現代語訳
太宗は上奏を読んで嘆じて言った。「もしあなたに出会わなければ、どうしてこの言葉を聞けただろうか」。
解説
魏徴の長い上奏文を読み終えた太宗は、ただ一言、「もしあなたに出会わなければ、どうしてこの言葉を聞けただろうか」と嘆じました。この短い述懐が、貞観の政治のありようをよく表しています。太宗は生まれつき優れた君主だったから、耳の痛い忠告を受け入れられたのではありません。むしろ、遠慮なく忠告してくれる人がそばにいたからこそ、優れた君主であり続けることができたのです。人はどれほど賢くても、自分一人で自分の間違いに気づくことは難しいものです。家庭でも、率直に意見を言ってくれる連れ合いや友人がいるかどうかで、その後の生き方は大きく変わります。太宗のこの一言は、忠告してくれる相手への感謝であると同時に、自分一人では正しくいられないという、率直な自覚の表れでもあります。人の上に立つ人ほど、耳の痛いことを言ってくれる相手を大切にすべきだという教えです。
この章句が説くこと
若不遇公何由得聞此語諫言者がいたから一人では正せない