貞観政要 / 公平
貞觀初,太宗謂侍臣曰:「朕今孜孜求士,欲專心政道,聞有好人,則抽擢驅使。而議者多稱『彼者皆宰臣親故』,但公等至公,行事勿避此言,便為形跡。古人『內舉不避親,外舉不避讎』,而為舉得其真賢故也。但能舉用得才,雖是子弟及有讎嫌,不得不舉。」
新字:貞観初,太宗謂侍臣曰:「朕今孜孜求士,欲専心政道,聞有好人,則抽擢駆使。而議者多稱『彼者皆宰臣親故』,但公等至公,行事勿避此言,便為形跡。古人『內舉不避親,外舉不避讎』,而為舉得其真賢故也。但能舉用得才,雖是子弟及有讎嫌,不得不舉。」
書き下し
貞観初、太宗侍臣に謂いて曰く、「朕は今、孜孜として士を求む。心を政道に専らにせんと欲す。好人有るを聞かば、則ち抽擢して駆使す。而るに議する者は多く『彼の者は皆な宰臣の親故なり』と称す。但だ公等は至公なり。事を行うに此の言を避け、便ち形跡を為すこと勿かれ。古人は『内に挙ぐるに親を避けず、外に挙ぐるに讎を避けず』と。而して挙ぐるに其の真賢を得るが為の故なり。但だ能く挙用して才を得ば、是れ子弟及び讎嫌有りと雖も、挙げざるを得ず」と。
現代語訳
貞観の初め、太宗が側近の臣に言った。「私は今、熱心に人材を求めている。心を政治の道に専らにしたい。良い人がいると聞けば、抜擢して働かせる。ところが議論する者の多くは『あれは宰相の縁者だ』と言う。しかし諸君は公正である。事を行うにあたって、この言葉を避けて、疑われないよう振る舞うようなことをしてはならない。古人は『内に挙げるのに親族を避けず、外に挙げるのに仇を避けず』と言った。それは、挙げて真の賢者を得るためだ。よく挙げて人材を得られるなら、たとえ子弟であれ、仇であれ、挙げないわけにいかない」。
解説
「疑われないよう振る舞うな」。太宗はこう言います。親族を推薦すれば、身びいきと言われる。だから避ける。それは保身であって、公正ではありません。「親族を避けず、仇を避けず」。基準は一つ、真の賢者かどうか。疑われることを恐れて適任者を外すのも、身びいきと同じ罪なのです。