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貞観政要 / 規諫太子

以小臣之愚鄙,忝不赀之恩榮。擢無庸於草澤,齒陋質於簪纓。遇大道行而兩儀泰,喜元良會而萬國貞。以監撫之多暇,每講論而肅成。仰惟神之敏速,歎將聖之聰明。自禮賢於秋實,足歸道於春卿。芳年淑景,時和氣清。華殿邃兮簾幃靜,灌木森兮風雲輕,花飄香兮動笑日,嬌鶯囀兮相哀鳴。以物華之繁靡,尚絕思於將迎。猶允蹈而不倦,極耽玩以研精。命庸才以載筆,謝摛藻於天庭。異洞簫之娛侍,殊飛蓋之緣情。闕雅言以讚德,思報恩以輕生。敢下拜而稽首,願永樹於風聲。奉皇靈之遐壽,冠振古之鴻名。

新字:以小臣之愚鄙,忝不赀之恩栄。擢無庸於草沢,齒陋質於簪纓。遇大道行而両儀泰,喜元良会而万国貞。以監撫之多暇,毎講論而粛成。仰惟神之敏速,歎将聖之聰明。自礼賢於秋実,足歸道於春卿。芳年淑景,時和気清。華殿邃兮簾幃静,灌木森兮風雲輕,花飄香兮動笑日,嬌鶯囀兮相哀鳴。以物華之繁靡,尚絶思於将迎。猶允蹈而不倦,極耽玩以研精。命庸才以載筆,謝摛藻於天庭。異洞簫之娛侍,殊飛蓋之縁情。闕雅言以讚徳,思報恩以輕生。敢下拝而稽首,願永樹於風声。奉皇靈之遐寿,冠振古之鴻名。

書き下し

小臣の愚鄙を以て、不赀(ふし)の恩栄を忝(かたじけな)くす。無庸を草沢に擢(ぬきん)で、陋質を簪纓に齒す。大道行われて両儀泰(やす)きに遇い、元良会して万国貞なるを喜ぶ。監撫の暇多きを以て、講論する毎に肅(つつし)みて成る。仰ぎ惟うに神の敏速なる、将聖の聡明を歎ず。賢を秋実に礼してより、道を春卿に帰するに足る。芳年淑景、時和し気清し。華殿は邃(ふか)くして簾幃は静かなり。灌木は森として風雲は軽し。花は香を飄(ひるがえ)して笑日を動かし、嬌鶯は囀(さえず)りて相い哀鳴す。物華の繁靡なるを以て、尚お思いを将迎に絶つ。猶お允(まこと)に蹈みて倦まず、耽玩を極めて研精す。庸才に命じて筆を載せしめ、藻を天庭に摛(の)ぶるを謝す。洞簫の娯侍に異なり、飛蓋の縁情に殊なり。雅言を闕(か)きて以て徳を讃う。恩に報いんことを思いて生を軽んず。敢えて下拝して稽首し、永く風声を樹てんことを願う。皇霊の遐寿を奉じ、振古の鴻名に冠たらんことを。

現代語訳

小臣は愚かで卑しい身ながら、量りしれない恩と栄誉をかたじけなくしております。無用の者を草莽から抜擢し、卑しい資質を高官の列に加えていただいた。大いなる道が行われ天地が安らかであることに出会い、優れた太子が世に現れて万国が正しいことを喜びます。太子が政務を代行される余暇に、講論するたびに慎んで成し遂げられる。仰ぎ思いますに、その神のような敏速さ、聖に近い聡明さを歎じます。賢者を秋の実りのように礼遇されてから、道は春の官に帰したといえます。麗しい年、うるわしい景色、時は和み気は清らか。華やかな殿は奥深く、簾は静か。灌木は茂り、風と雲は軽い。花は香を翻して日を動かし、鶯は囀って哀しげに鳴く。物の華やぎがこれほど盛んでも、なお迎え送る思いを断たれる。まことに踏み行って倦まず、深く玩味して究められる。凡才の私に筆を執らせ、宮廷に文章を述べさせてくださった。洞簫を吹いて侍るのとは違い、車を飛ばして情を寄せるのとも違います。雅な言葉に欠けながら、徳を讃えます。恩に報いようと思い、命を軽んじます。あえて拝して頭を下げ、永く名声が立つことを願います。天子の長寿を奉じ、古を超える大いなる名に冠たらんことを。

解説

賦を締めくくる一段です。ここまで厳しい戒めを並べた後、最後は讃辞で終わります。太子を批判した文章ではなく、太子を讃える文章という形をとる。だから受け取れる。「諷す」とは、こういうことです。中身は諫め、形は讃辞。この二重構造が、届けるための工夫でした。

この一句を、あなたの毎日に。

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